2012 Fiscal Year Annual Research Report
革新的イオン化法を用いた質量分析型がん診断装置の開発
Project/Area Number |
23790619
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
吉村 健太郎 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (70516921)
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Keywords | 質量分析 / 学習機械 |
Research Abstract |
本研究では、試料の前処理無く、大気圧下で利用可能な探針エレクトロスプレー法(PESI)を用いた質量分析による、迅速がん診断システムを開発することを目的とした。本法では、得られた生体成分のマススペクトルパタン全体を捉え、これにベイズ理論を応用したアルゴリズムを適用して診断を行うため、従前のがん診断法のように、腫瘍マーカーの検出を必要としない。これにより、一度診断法が確立すると、あらゆる種類のがんに応用が可能である。 ヒトがん組織の脂質マススペクトルの取得に最適な条件を検討した結果、検体表面に50%エタノールを滴下し、ステンレス製探針を用いて測定すると最も良好なスペクトルが得られることが明らかとなった。同条件を用いてヒト腎細胞がんおよび、肝細胞がんの検体より約3,000セットのマススペクトルを収集した。これをトレーニングデータとしてベイズ推計に基づいた学習機械であるdual penalized logistic regression machine(dPLRM)を教育し、盲験スペクトルの判定を行ったところ、病理診断結果と90%以上一致する判定結果を得ることに成功した。今後、さらに他種のがんに対する測定を行い、データベースを構築することで、広範ながんの診断への応用が期待される。
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