2011 Fiscal Year Research-status Report
自己免疫性膵炎と劇症1型糖尿病の新規自己抗体の発見と測定系の確立
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23790620
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
滝澤 壮一 山梨大学, 医学工学総合研究部, 医員 (80456467)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 免疫学 / 糖尿病 |
Research Abstract |
我々は血清IgGおよびIgG4が著明に高値を示す糖尿病を合併した自己免疫性膵炎の患者血清を患者同意の上、複数検体採取した。この患者の血清IgGは著明に高値であり、この血清を用いて、膵cDNAライブラリーのスクリーニングを行い、新規の自己抗体とその対応抗原を同定した。予備実験で自己免疫性膵炎と劇症1型糖尿病に共通している新規の自己抗体と対応抗原を報告している。その中の一つであるアミラーゼ抗体に関してEnzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) 法の構築を行った。従来の方法では非特異的反応があり陰性検体でも偽陽性となることがあった。そのためアミラーゼ抗体の抗原決定基の特定を試みた。具体的にはアミラーゼ抗原を24基のアミノ酸ずつに断片化し、それぞれの断片を固相化しELISA法で比較した。その結果、ある抗原性が高い部位を特定することができた。現在、新たに構築したELISA法により自己免疫性膵炎、劇症1型糖尿病、急性発症1型糖尿病、2型糖尿病などの患者血清を用い、陽性率を測定し、臨床的特徴と照らし合わせ検討を行っている。また、新たに構築したELISA法にて特定された陽性患者では、発症前の検体から時系列で抗体価の測定を行っている。そのことにより、アミラーゼ抗体が発症予測に役立つ可能性がある。もし発症前診断が可能となれば、妊娠後期に重篤な糖尿病性ケトアシドーシスを呈し、母体およびその胎児に生命の危険を及ぼすことが知られている劇症1型糖尿病の発症を予測でき、母体、胎児ともに救命できる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新たなELISA法を構築する際に、ブロッキング溶液、一次抗体溶解液、二次抗体溶解液などの選定、最適化にはいくつもの比較実験が必要であった。また、患者血清の収集にも時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに構築したELISA法により自己免疫性膵炎、劇症1型糖尿病、急性発症1型糖尿病、2型糖尿病、アルコール性慢性膵炎などの患者血清を用い、アミラーゼ抗体価の測定を進め、臨床的意義についても検討する。また、新たな患者血清をプローブとしたExpression cloning法によりアミラーゼ抗体以外の自己抗原の同定を行う。同定された場合は、その自己抗原をマウス AKR/Nに2週間間隔で腹腔内注入し、腹腔内ブドウ糖負荷試験で開始前、4週後、8週後、12週後の耐糖能を評価する。その後、膵摘出を行い、組織学的にリンパ球浸潤および細胞障害の有無を含めて膵組織の検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アミラーゼ抗体を測定する新規のELISA法に必要な物品を購入する。また、患者血清をプローブとしたExpression cloning法により自己抗原の同定を行う際に必要なλTripleEx2 human pancreas cDNA libraryなども購入する。その後、動物実験に移行できればマウスの購入、飼育費用に充てる。
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