2011 Fiscal Year Research-status Report
悪性胸膜中皮腫における腸上皮細胞発現分子インテレクチンー1の発現制御機構の解明
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23790634
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Research Institution | Kanagawa Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
山下 真紀子 (辻 真紀子) 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, その他 (60397776)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 中皮腫 / インテレクチン |
Research Abstract |
本研究は、悪性胸膜中皮腫(中皮腫)が中皮細胞の腸上皮化生様の変化であるという仮説のもと、中皮腫と腸上皮化生との関連性を分子レベルで明らかにすることを目的としている。まずは、中皮腫、腸上皮化生組織について、中皮腫関連因子および腸上皮化生関連因子の免疫組織学的解析を行った。中皮腫関連因子として、インテレクチン-1、カルレチニン、glucose transporter-1(GLUT-1)、Wilm’s tumor-1(WT-1)、腸上皮化生関連因子として、CDX2、COX-2、β-cateninについて免疫組織染色を行い、その発現および局在を観察し、比較検討した。その結果、上皮型中皮腫および腸上皮化生の両部位において、インテレクチン-1が特異的に発現していることが判明した。他の中皮腫マーカーとして知られるカルレチニン、GLUT-1、WT-1は中皮腫のみで発現が認められ、腸上皮化生部位での発現は認められなかった。腸上皮細胞の増殖や分化に関与する転写因子であるCDX2は、中皮腫では発現が認められず、腸上皮化生部位のみに発現が認められた。COX-2の発現(中皮腫78%、腸上皮化生100%)や、β-cateninの核移行(中皮腫33%、腸上皮化生31%)などについては、中皮腫と腸上皮化生部位における関連性が認められなかった。今後は、中皮腫細胞と腸管杯細胞において特異的に発現が認められたインテレクチン-1遺伝子のプロモーター領域の解析を行い、インテレクチン-1の発現に関わる転写因子を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中皮腫、腸上皮化生組織における、中皮腫関連因子および腸上皮化生関連因子の免疫組織染色は遂行済みである。両部位において特異的な発現が認められたインテレクチン-1遺伝子の上流領域のクローニングも完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本研究計画にもとづき、インテレクチン-1遺伝子の上流領域配列を組み込んだ発現プラスミドと悪性中皮腫細胞株を用いて、インテレクチン-1遺伝子のプロモーター領域の解析を行う。転写因子結合領域の部分欠失変異体を作製し、段階的にプロモーター部位を絞り込むことによって、転写調節に関わる領域を決定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究を遂行するにあたり、大型機器や研究環境等に問題はなく、現有設備を使用するため、設備備品費は計上しない。研究経費の多くを、分子生物学的解析に必要となる試薬やプラスチック製品などの消耗品の購入にあてる。また、研究計画にある通り、研究成果を国内学会や外国語論文に発表するための旅費や投稿料としても使用する。
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