2011 Fiscal Year Annual Research Report
高感度遺伝子変異検出技術を用いた3剤併用術前化学療法の効果予測に関する研究
Project/Area Number |
23790636
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Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Disaeses |
Principal Investigator |
谷口 一也 大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), 研究所, 研究員 (70463289)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | EGFR / ゲフィチニブ / 分子標的薬 / 抗癌剤耐性 / 遺伝子変異 / 遺伝子診断 / 非小細胞肺癌 |
Research Abstract |
イレッサに代表されるEGFR-阻害剤(TKI)はEGFR上に活性化変異のある患者において奏効が見られる。しかし、ほとんどの投与症例において1年前後で治療抵抗性となることが知られており、重要な臨床課題となっている。EGFR-TKIに対する獲得耐性のうち約50%の症例でEGFR T790M変異を認めるが、進行肺癌症例において変異検索のために再度肺癌組織を採取する事は非常に困難で危険を伴うことが多い。そこで我々は、血中癌細胞由来浮遊DNA : ctDNA (Circulating tumor DNA)に着目して研究を行った。 本研究では独自に改良したBEAMing (beads、emulsion、amplification、magnetics)を用いて血漿中の微量遺伝子変異の定量的検出を行った。蛍光標識としてより安定なAlexa488、Alexa647を、プローブにLNA (locked nucleic acid)を用いることにより高感度化(1/10000以下の存在割合でも解析可能)と頑強性robustnessを実現した。具体的にはLNAではDNAに比べTm値の差が実測値で1.0℃上昇する。またこの方法は遺伝子変異の検出を行うため、これまでの腫瘍マーカーに比べて腫瘍特異性が高い。 原発巣でEGFR変異を確認した肺癌患者44症例の血液検体の解析で、TKI投与前ではT790M変異が検出されないことを確認し、TKI耐性後の約半数でT790M変異を検出することができた。検出感度としては、感受性EGFR変異で73%、耐性変異で87%であった。これはT790M変異モニタリングの確立に向けて有望な結果である。現在、複数の製薬会社においてT790M変異肺癌に対しても効果のある分子標的薬が開発中であり、血液サンプルを用いた耐性モニタリングは臨床現場において有用な検査方法となることが期待される。
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Research Products
(2 results)