2011 Fiscal Year Research-status Report
慢性神経因性疼痛におけるPPARgammaシグナルの役割
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23790649
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
長谷川 麻衣子 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20516637)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 炎症性疼痛 / PPARgamma |
Research Abstract |
慢性神経因性疼痛は炎症、虚血など様々な原因により誘起される。炎症の遷延化はマクロファージ活性化による炎症起因物質の産生と炎症反応の増長により、さらなる神経傷害をもたらす。同時にマクロファージはIL-10などの抗炎症性サイトカインや神経栄養因子を産生する。つまりマクロファージは神経傷害と神経保護という相反する作用を有し、慢性疼痛の病態を修飾している。マクロファージには2つの極性があり、炎症型M1と抗炎症型M2のバランスにより炎症状態が決定される。PPARgアゴニストrosiglitazoneはM2優位にマクロファージの分化を誘導することがわかっているため、慢性疼痛の病態においても抗炎症作用を介して鎮痛作用を発揮するものと仮定し、その作用を部分的坐骨神経結紮モデルを用いて検討した。神経結紮直後のrosiglitazone投与により、マクロファージの浸潤や疼痛閾値の低下を有意に抑制した。局所におけるCOX-2, iNOSなどの疼痛起因物質の産生も抑制された。現在iNOSをはじめとするM1マーカー、Arginase-1等のM2マーカーの発現と定量をおこなうとともに、PPARgシグナルの活性化により誘導される組織保護作用を有するマクロファージ由来産生物質の検索をおこなっている。また末梢でのマクロファージを介した炎症反応の抑制により、脊髄レベルでの慢性疼痛の病態形成を抑制しているのか検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モデル動物の作成やアッセイは稼働しており、研究の遂行には問題ないと考える。しかし実験結果については検討中であり、追加実験が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、macrophageのsubtype特異的な細胞マーカーの発現と定量を定量PCR、Western blotting、細胞染色によっておこなうとともに、PPARgシグナルの活性化により誘導される組織保護作用を有するマクロファージ由来産生物質の検索をおこなっている。また末梢でのマクロファージを介した炎症反応の抑制により、脊髄レベルでの慢性疼痛の病態形成を抑制しているのか検討中である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
モデル動物作成のためdb/dbマウスの購入に用いる。real time PCR、Western blottingに必要な試薬、また免疫染色に使用する抗体を購入する。研究成果を日本ペインクリニック学会で発表する予定である。論文投稿中であり、英文校正、印刷費用も必要である。
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