2011 Fiscal Year Research-status Report
発達期の粉乳によるヒ素曝露の臨床的慢性影響評価(パイロット研究)
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23790662
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
頼藤 貴志 岡山大学, 環境学研究科, 准教授 (00452566)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 環境保健 / 食中毒 / ヒ素 / 神経学的検査 / 神経認知行動学的検査 / 神経生理学的検査 |
Research Abstract |
1955年夏ヒ素を混入したミルクによる食中毒が西日本中心に発生した。乳幼児期の一点曝露での食中毒は珍しく、乳幼児へのヒ素の影響を検討する際に国際的にも貴重な教訓となり得る。しかしながら、疫学的検証は充分には行われていない。その為、今回発達期にヒ素曝露を受けた集団を対象として、ミルク飲用と発がん・神経学的所見・各種生物学的マーカー・心血管系機能・内分泌機能との関連を検討するパイロット研究を行う。また、それら臨床検査の変動を評価、統計学的パワーを検討し、今後の大規模調査が実施可能かを検討する。 上記目的の為に、最も被害が大きかった岡山県を対象地域とし、岡山県内2箇所の病院を研究実施地域とし、50名(被害者25名、コントロール25名)を選択する横断研究を行う予定とした。実際の健康診査情報で補完しながら、身体所見・神経所見・生物学的マーカーなどの結果指標を取得する予定としている。 平成23年度(初年度)は主に、研究開始の為の準備、打ち合わせ、資料整理を行った。具体的には、2箇所の病院関係者と班会議を4回、事務局会議を1回行い、準備を行った。神経学的所見取得の為に、神経内科医と調整、また神経認知行動学的検査情報取得の為に、海外の研究者との打ち合わせも行った。その他、生物学的マーカーの測定に関し、アメリカのNational Institute of Healthと調整を行った。研究代表者が所属する大学と各病院での倫理審査の申請も行い、承認を得ている。その他、研究開始に必要な環境を整えることができた。また、研究対象者となる被害者25名に対して、実際に被害者の方の飲用状況を調べたり、研究参加への同意を郵送にて確認することも出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初想定していた以上に、準備に時間がかかったが、実際平成23年度中に研究対象者の選定や対象者への説明を行い、平成24年度4月より研究を開始できるように準備を行えたので、おおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
実際のパイロット横断研究を開始する。対象は、ヒ素曝露群(被害者)と曝露を受けていないコントロール群、それぞれ各群25名。生物学的マーカー取得に同意した者。健康診断実施時に、基本情報(年齢・性など)、ミルク飲用に関する情報(頻度や量など)、身体所見(体重、身長、血圧)、心血管系機能評価(心電図)、神経所見、神経認知行動学的検査、神経生理学的検査、血液所見(血算、血液生化学検査)、尿所見(尿のヒ素メチレーション所見など)、エピジェネティック(epigenetic)マーカーに関する情報を取得する。その後、血液と尿検体はアメリカのNational Institute of Healthに空輸する。 対象者50名の結果が揃った所で、記述統計・多変量解析など統計解析を行い、両群の比較を行う。また、論文発表の準備も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に、2か所の病院での検査費用(神経所見取得、神経生理学的検査)にあてる。また、対象者への謝礼、神経認知行動学的検査用の器具の購入、アメリカのNational Institute of Healthへの冷凍空輸代として研究費をあてる予定である。
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