2011 Fiscal Year Research-status Report
ナノ粒子を多く含むディーゼル排気ガスによる肝毒性と粒子除去効果
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23790667
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
伊藤 由起 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80452192)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ディーゼル排気ガス / 肝毒性 |
Research Abstract |
ディーゼル排気ガス中にはナノサイズの粒子が多く含まれるが、このようなナノ粒子の肝臓への影響はあまり注目されてこなかった。しかし主に雄性のF344ラットにおいて、ナノ粒子を多く含むディーゼル排気ガス(NR-DE)を1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月曝露したところ、1か月曝露で炎症マーカーの上昇等の肝臓への影響が観察されている。 そこで1か月曝露後、対照群2個体と高濃度曝露群2個体の肝臓から抽出したRNAを用いてマイクロアレイ解析を行い、パスウェイ解析を行った。その結果、アラキドン酸カスケードや脂質の生合成や脂質代謝等が上位に抽出された。マイクロアレイ解析を行っていない低濃度群、中濃度群を加えた全サンプルを定量的リアルタイムPCR法で確認したところ、リン脂質からのアラキドン酸産生に関与するホスホリパーゼA2 group 4aは中濃度曝露群で上昇していた。同様に、アラキドン酸からプロスタグランジンH2を合成するCox-1は高濃度群で、Cox-2は中濃度群で上昇していた。一方、アラキドン酸合成酵素を抑制するannexinと相互作用するs100蛋白は中濃度群で上昇していたが、annexin1は高濃度曝露群で減少していた。 以上より、NR-DE曝露は肝臓でのプロスタグランジン合成を促進する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NR-DEによる肝毒性に関する報告は乏しいが、マイクロアレイによる網羅的解析により、いくつかの肝毒性経路を抽出することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今回研究に用いている濃度は、中濃度においても2.5μm以下の浮遊粒子状物質の環境基準値に近く、実際の曝露を想定した濃度設定になっている。今年度は、NR-DEによる肝毒性を網羅的に明らかにしたが、次年度はフィルターで粒子を除去することによる効果を明らかにしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試薬代やプラスチック・ガラス消耗品を中心に使用する。
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