2013 Fiscal Year Annual Research Report
アルミニウム作業者における尿中アルミニウムを用いた生体影響評価
Project/Area Number |
23790672
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
小川 真規 自治医科大学, 医学部, 講師 (70525451)
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Keywords | アルミニウム / 毒性 / 前臨床的指標 |
Research Abstract |
(平成26年度)25年までに出た結果をまとめ論文化した。現在国際誌に投稿中である。 (研究期間を通して得られた成果)アルミニウムの人体への影響を見るため、アルミニウム作業者と非作業者を対象に尿中アルミニウムと前臨床的指標を比較検討した。対象者は23名の健康な男性アルミニウム鋳造作業者および年齢を調整した10名の健康な男性アルミニウム非作業者とし、前臨床的指標としては肺・骨・造血器・炎症・腎のマーカーとして血中KL-6・SP-D・TRCP-5b・IL-6・ IL-8および尿中δ-ALA・β2-マイクログロブリンを、酸化的DNA損傷のマーカーとして尿中8-OHdGを用いた。 結果としては、尿中アルミニウム濃度はアルミニウム作業者で5.4-55.1ug/g cre(平均濃度:21.7ug/g cre)、非作業者で5.6-15.6ug/g cre(平均濃度:9.6ug/g cre)と有意差を認めた。前臨床的指標はδ-ALAがアルミニウム作業者において有意な上昇を認めたがその他の指標では両者に有意差を認めなかった。アルミニウム作業者において尿中アルミニウム濃度と前臨床的指標や作業年数、年齢、8-OHdGとの間に有意な相関は認められなかった。なお、δ-ALAに関し鉛の影響は認めなかった。 これらの結果から、アルミニウム作業者は、作業においてアルミニウムが体内へ侵入し、非作業者に比べ尿中にアルミニウムが有意に高値な量が排泄されることが分かった。一方、尿中アルミニウム濃度と前臨床的指標や作業年数、年齢、8-OHdGとの間に有意な相関は認められず、アルミニウム作業者においてアルミニウムの尿中排泄は増加するものの、尿中アルミニウム濃度が4umol/l(55ug/g cre)以下の範囲においては人体に大きな影響を与えない可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)