2012 Fiscal Year Annual Research Report
地域在住後期高齢者における余暇活動と認知機能維持の因果関係に関する長期追跡調査
Project/Area Number |
23790683
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
岩佐 一 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (60435716)
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Keywords | 認知機能 / 認知症予防 / 地域高齢者 / 余暇活動 / 因果関係 / 前向きコホート研究 |
Research Abstract |
欧米では、読書やパズルなどの余暇活動を頻繁に行う高齢者は、認知症の発症リスクが低いことが報告されている。本研究は、日本の地域高齢者における余暇活動と認知機能維持ならびに生命予後の因果関係を検証することを目的とした。 (1)余暇活動と認知機能低下の関連: 都市部に在住する地域高齢者567人(男性285人、女性282人、平均年齢75.8±3.5歳、70~84歳)を対象として、余暇活動と認知機能低下の関連について前向きコホート研究により検討を行った。追跡期間中にMini-Mental State Examination (MMSE)総得点が3点以上低下した場合を「認知機能低下」と定義した。多重ロジスティック回帰分析により両者の関連について検討した結果、趣味を行う高齢者は認知機能が維持されやすいことが見出された。一方、社会活動や運動習慣と認知機能維持の関連は見出されなかった。上記の成果を論文にまとめ英文誌に発表し受理された(Iwasa H et al. Journal of Psychosomatic Research 2012; 72: 159-164)。 (2)余暇活動と生命予後の関連: 農村部に在住する地域高齢者946人(男性380人、女性566人、平均年齢71.9±5.6歳、65~91歳)を対象として、余暇活動と生命予後の関連について前向きコホート研究により検討を行った。追跡期間中に251人(26.5%)が死亡した。Cox比例ハザードモデルにより両者の関連について検討した結果、趣味、社会活動(ボランティア活動)を行う高齢者は生命予後が良好であることが見出された。一方、社会活動(老人クラブへの参加)、運動習慣と生命予後の関連は見出されなかった。 本知見は、今後日本における、地域高齢者をターゲットとした「生きがい型」認知症予防の推進に資するものと考えられる。
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