2011 Fiscal Year Research-status Report
小児におけるうがいと感染症の予防等に関する実証研究
Project/Area Number |
23790689
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
野田 龍也 浜松医科大学, 医学部, 助教 (70456549)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | うがい / 感染症 / 小児 / 学校保健 |
Research Abstract |
本研究を開始するにあたり、静岡県内の某市に協力を仰ぎ、数次にわたる協議の結果、漸進的に協力を得られることとなった。平成23年度の研究対象は当該市の小中学校であり、4つの研究を実施した。1) 小学校および中学校でのうがい状況の実態調査:校内でのうがいの励行状況、うがいに緑茶を使用しているか否かについて、各学校ごとに調査した。その結果、半数程度の学校で緑茶によるうがいを行っていることが明らかとなった。2) 小学校および中学校ごとの健診結果調査:小学校および中学校ごとに、平均身長や平均体重、るいそう者割合等をまとめた。3) 小学校および中学校ごとの歯科検診結果調査:学校健診におけるう歯(永久歯のDMFTおよび未処置者率)について学校ごとにまとめた。4) 文献調査:うがいや小児の健康に関する文献を収集した。以上より、平成24年度以降の研究遂行に係る基礎的な知見を収集することができた。 また、本研究に関連し、研究代表者が過去に行った観察研究について、国際学術誌に論文を発表した(J Epidemiol. 2012;22(1):45-49)。これは、学齢期前の小児について、うがいが発熱性疾患の発生に予防的に関連することを示したもので、各種メディアを通じて全国に広く周知された。一方、小学生・中学生に対するうがいの効果についてはいまだ実証されておらず、上記論文は、本研究を通じて小学生・中学生に対する検証を行っていく際に研究協力を得る一助となると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
うがいと身体的な不調等の関連について、横断研究により基礎的な知見を収集するという、平成23年度本来の目標については、おおむね達成できた。ただ、平成23年度は、教育委員会との調整が完了せず、個人票を用いた調査の代わりに学校別の調査を行うこととなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度以降は、研究協力をいただいている市との協議をさらに推し進め、教育委員会や各学校の協力を得た上で、個人を対象とする調査を遂行する予定である。 平成24年度においては、多施設介入または多施設観察研究を行う。対象施設の児童・生徒について、冬季における発熱の有無等についての日々の健康記録をつけてもらうとともに、疾病等(「かぜ症候群」、インフルエンザ、肺炎・気管支炎、う蝕(虫歯)、発熱による病欠、総病欠)の罹患状況を記録することを予定しているが、教育委員会等の同意を得て、実施方法の詳細を決定する。 比較対象としては、うがいなし、水道水によるうがい、緑茶によるうがいの3群を想定している。教育機関の性質上、無作為割り付けの同意を個人単位や学級単位で得ることは困難と予想される。そのため、施設単位で曝露を割り付けた後、主にマルチレベル分析等を用いて分析する予定である。実施にあたり、施設単位での無作為割り付けの同意を得ることが難しいケースも予想されるが、その場合は、うがい非実施施設の一部にうがいの実施をお願いする形で調査を行う。使用する緑茶に関しては、地元農協等から茶葉の提供を受ける予定であり、折衝を行う。 呼吸器感染症に係るエンドポイントとしては、把握しやすさを考えると発熱の発生および発熱性疾患による欠席が簡便である。診断の正確さを考えるとインフルエンザ等の具体的な疾病が好ましいが、罹患数から言って十分な検出力を得られない可能性があり、補助的な測定となる。操作的に、発熱性疾患等をプライマリエンドポイントとすることが望ましいと考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費は、主に調査に係る通信運搬費、データ入力の研究補助や、打ち合わせ・情報収集のための旅費が想定され、交付申請書の明細と大きく異なるものとはならない予定である。
|