2012 Fiscal Year Annual Research Report
Endothelin-1(ET-1)高値は腎不全悪化の予知因子である。
Project/Area Number |
23790714
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
横井 加奈子 久留米大学, 医学部, 助教 (80569385)
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Keywords | エンドセリン-1 / 疫学 / 死亡率 / 前向き研究 |
Research Abstract |
血漿エンドセリン-1(ET-1)は強力な血管収縮物質である。血漿ET-1の上昇は心血管疾患及び悪性腫瘍患者の予後マーカーである。我々は、血漿ET-1レベルの上昇はベースライン時に明らかな心血管疾患や悪性腫瘍がなくても被験者の予後マーカーかもしれないという仮説を立てた。 健常の40歳以上の1440人(男性:580人、女性:860人)のET-1レベルを測定した。10年間にわたり追跡調査を施行し、追跡率は96.8%であった。ベースラインの血漿ET-1のレベルを四分位に分類した。ベースラインの血漿ET-1濃度は年齢、血圧、HDL-コレステロール、腎機能、尿酸および全死因死亡では関連があったが、心血管死や癌死では関連はなかった。10年後の生死別に見た各変数の平均値及び頻度の差では年齢、性別、収縮期血圧、尿酸、空腹時血糖、HbA1c、喫煙歴、高血圧治療歴及び血漿ET-1は生存者と比較して有意に上昇し、BMI、総コレステロール、eGFRは生存者と比較して有意に低下していた。Kaplan-Meier法の曲線は、全死因死亡率が最も低い四分位数よりもET-1の最高四分位で有意に高かった。Cox比例ハザード回帰分析では、ET-1は全死因死亡の独立した予測因子であった(ハザード比: 1.11, 95%信頼区間 1.01-1.23)。交絡因子調整後の最低四分位数に対する血漿ET-1の最高四分位数における全死因死亡のハザード比は1.54であった。(95%信頼区間1.09-2.20)。 血漿ET-1レベルは健康な集団における全死因死亡の予測因子である可能性がある。
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