2011 Fiscal Year Research-status Report
クロマチンリモデリングに基づくABO式血液型遺伝子の転写調節機構の解明
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23790723
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐野 利恵 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70455955)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ABO式血液型 / 転写調節 / ルシフェラーゼアッセイ / ABO式血液型変異型Bm型 |
Research Abstract |
ABO式血液型の判定は輸血医療に重要で、その遺伝子構造は解明されたが、血液型抗原の発現が弱い血液型変異型において、エキソン部分に変異の認められない型が存在することから、血液型の遺伝子診断は実用困難である。また、ABO式血液型抗原の組織特異的発現、細胞分化に伴う発現、癌細胞での抗原の欠落等の現象は未だ完全には解明されていない。これまで、ABO式血液型遺伝子の上流域についての解析がなされ、プロモーターと上皮細胞におけるエンハンサーが同定された。近年、転写調節領域を示唆するDNase I hypersensitive site(DHS)やクロマチン修飾状況がゲノムワイドに示され、ABO遺伝子周辺にいくつかのエンハンサー候補が示唆された。今回我々は、赤白血病細胞K562を用いて、ABO遺伝子の周辺約54Kbについて、DHSを基にレポータープラスミドを作製してルシフェラーゼアッセイを行い、第1イントロン内(+5.8 site)及び下流域(+41.0 site)に転写活性化領域を見出した。また、+5.8 siteは血球系特異的であり、+41.0 siteは細胞非特異的であった。更に、ABO式血液型変異型Bm型では、第1イントロン内で+5.8 siteを含む約6kbの塩基が欠損していることを発見した。この事から、+5.8 siteが生体の赤血球系細胞においてエンハンサーとして機能している事が推測された(現在論文を投稿中)。第1イントロン内の+5.8 siteと下流の+41.0 site等のエンハンサーの発見を突破口に、赤血球系細胞におけるABO遺伝子の転写調節機構について解明することは、ABO式血液型に関する上述の現象を説明する大きな糸口となるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ABO式血液型遺伝子のエンハンサーを決定するため、広汎な検索を行い、転写活性化領域の候補を見出し、さらに実際の変異型において該当箇所の欠損を発見したことから、in vivoの結果とin vitroの結果が対応していることが判明したことから、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、他のABO式血液型変異型においても、転写活性化領域に欠損や塩基置換等がないかを検索する。さらに、転写活性化のメカニズムを詳細に調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定通りに研究を遂行する。具体的には変異型のゲノム解析のためのシークエンス試薬や転写活性化メカニズムの研究のための試薬に対して研究費を使用する予定である。
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Research Products
(5 results)