2011 Fiscal Year Research-status Report
UPLC-MS/MSを用いた生体内筋弛緩剤の網羅的微量分析法の開発
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23790732
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
小川 匡之 愛知医科大学, 医学部, 助教 (50559937)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 法中毒 / 筋弛緩剤 / UPLC-MS/MS |
Research Abstract |
初年度はUPLC-MS/MSシステムを用いて、中枢性筋弛緩剤について、迅速・高感度検出及び定量法の開発を行った。9種類の筋弛緩薬を添加した血漿100μLをアルカリ性にした後、固層抽出法により精製を行った。抽出した試料は乾固後、100μLの0.1 %ギ酸含有25%メタノールに溶解し、UPLC-MS/MSに導入した。測定条件は以下のとおりである。装置: Waters Acquity UPLC system, Acquity TQD、カラム: Waters Acquity UPLC BEH C18 (2.1 × 50 mm i.d., 1.7 μm)、カラム温度: 40℃、移動相: A (0.1%ギ酸) 、B (0.1%ギ酸含有アセトニトリル)、グラジエント: 90% A / 10% B (0 min) - 50% A / 50% B (3 min)、流速: 0.5 mL/minで行った。 高感度かつESIポジティブ/ネガティブモードの並行測定が可能なUPLC-MS/MSを用いることで、9種類の血漿中筋弛緩剤の3分以内の迅速同定・定量が可能であった。検量線は良好な直線性を示し、検出限界は0.5 - 2 ng/mLであった。UPLC-MS/MSはわずかな検体量・短いサイクルタイムで、様々な化学構造の薬物の並行測定を可能としており、これを応用すれば網羅的な分析方法が見出されていなかった薬毒物の微量分析法を確立する可能性が期待できる。 本成果を、第95次日本法医学会学術全国集会で口頭発表し、Analytical & Bioanalytical Chemistry誌に論文発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画通りに中枢性筋弛緩剤の迅速一斉測定法を開発し、その成果を論文の形で報告できたため、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
末梢性筋弛緩剤に関しても、中枢性筋弛緩剤と同様に測定条件の確定を目指し、1)UPLC/MS/MSを用いて末梢性筋弛緩剤各個純品の測定条件の確定する、2)生体試料(全血、血漿、尿)からの末梢性筋弛緩剤分離方法を固相抽出法を中心に検討し、高回収効率の抽出法を確立し、3)次いで試料に添加実験を行い、日内、日差間の精度、再現性の測定を実施する。4)マウスによる動物投与実験を行い、末梢性筋弛緩剤の作用機構の確認、臓器分布濃度の微量分析を施行し、5)薬物の代謝に関して、薬物動態解析を行い、投与生物の生存時の代謝と死後の分解に関しての検討を行う予定である。その上で、もし可能であれば、実際の鑑定試料の測定も試みる予定である。上述の結果を踏まえた上で、より個々の物質に対応した精製及び測定条件の設定に引き続き、最終的に中枢性・末梢性筋弛緩薬を一斉分析する系の構築を目指す予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在、UPLC-MSシステムは愛知医科大学で所有しているが、故障中であるため、修理費用を研究費で充てる予定である。また、新たな機器の購入は必要ないが、分離カラムは通常のLC用と比較して粒子径が小さく、消耗品であるため、定期的に交換する必要がある。加えて実験試薬、抽出用カラム、実験動物など、消耗品経費が必要である。また、国際学会での研究成果の発表を予定しており、その参加費、旅費で使用予定である。
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Research Products
(2 results)