2012 Fiscal Year Annual Research Report
慢性覚せい剤投与の線状体・側坐核に及ぼす影響と精神病形成のメカニズム
Project/Area Number |
23790733
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
内海 美紀 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (50351797)
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Keywords | メタンフェタミン |
Research Abstract |
覚せい剤(MAP)によって引き起こされる興奮作用や依存形成に至るメカニズムの中核は、脳内の腹側被蓋野-側坐核および黒質-線条体系ドパミン(DA)神経系の伝達増強が重要であるといわれている。現在のところ、我々の研究結果により、アルコールやMAPに対する遺伝的な感受性差は側坐核ではなく線条体のDA(D1)神経系に存在する可能性が高いこと、またMAP投与後にDAT-mRNAの発現率が減少する傾向が予備試験において確認されていることから、線条体D1およびDATに焦点を絞り、その遺伝子発現率等、分子レベルでのアプローチからMAPの脳内に与える影響について明らかにしてきた。 今回、ウェスタンブロット手法を用いて線条体内DA受容体およびDATのタンパク質の定量についての検討を重点的に行なった。その結果、MAP頻回投与群のDAT-タンパク質の発現量が、コントロール群に比して顕著に減少していることが明らかとなった。この結果は、昨年度に報告したMAP頻回投与群のDAT-mRNA発現が有意に低下していた結果を裏付けるものとなった。これらのことから、MAPの頻 回投与は線条体のDAT発現をmRNAレベルで減少させ、その結果DATを構成するタンパク質が生成されないことによりDAT密度の減少を招くことが推察された。DAT密度の減少は、MAPによって増加した細胞間隙内のDAの再取り込み作用を阻害し、慢性的に興奮作用を増強させることが予想され、結果的にMAPによる強化に繋がることが示唆された。
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