2012 Fiscal Year Annual Research Report
イメージング質量分析による混合体液斑の新しい識別法に関する研究
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23790734
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
藤浪 良仁 科学警察研究所, 法科学第一部, 主任研究官 (30335632)
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Keywords | 精液 / 体液斑 / イメージング / 質量分析 / MALDI / mass imaging |
Research Abstract |
イメージング質量分析を用いて各種体液斑の網羅的鑑別及び正確な試料採取を可能にすることを目的とした。 ヒト体液およびヒト体液斑簡易抽出物を対象にMALDI-TOF-MSのスペクトルパターンの取得を試みた。実験方法は、体液斑を滅菌水に浸しボルテックスミキサーで簡易抽出し、体液斑抽出サンプルとした。これをマトリックス溶液(0.3%TFA 50%ACN 含有 10 mg/ml CHCA溶液)に 1:4で混和し、Bruker Daltonics 社のAutoflex II (MALDI-TOF-MS)で解析を行った。ボランティア由来の唾液・鼻汁および膣内容物は、特徴的なマススペクトルパターンは得られなかったが、精液・尿・汗・血液はいくつか特徴ピークが観察され、マススペクトルパターンのバラツキは少なく思われた。特に、精液希釈液または精液斑抽出液からは、安定したマススペクトルパターンが得られ、高感度に検出される特徴ピークとしてm/z 2890が観察された。よって得られたm/z 2890を用いて精液斑のMALDI-TOF-MSによるイメージングを行った。模擬混合体液斑は、精液、血液、尿、唾液の4体液を晒し布に付着させ作製した。検出条件は、転写媒体として導電性両面テープ、マトリックス溶液としてCHCA溶液、噴霧方法はスプレー法を適用した。Bruker Daltonics社のflexImagingソフトウェアによるm/z 2890のMALDI imaging massにより精液斑が検出され、スキャナ画像と重ね合わせることで、他種の体液斑の混在する資料から精液が高濃度で付着する場所の検出が可能であった。 このようにMALDI-TOF-MS を用いた体液斑検査法は、付着場所の特定や、抽出による高感度検出が可能であるため、迅速な1次スクリーニング方法の一つになる可能性があると思われる。
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