2011 Fiscal Year Research-status Report
緩和ケアチームの介入が悪性腫瘍患者の生活の質にもたらす効果に関する研究
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23790742
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
坂下 明大 神戸大学, 医学部附属病院, 特定助教 (90514662)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | QOL |
Research Abstract |
スクリーニングシートを用いて悪性腫瘍患者のQOLを調査し、緩和ケアチームの介入希望に影響する因子を探索した。呼吸器内科および腫瘍・血液内科に入院したがん患者を対象とした。スクリーニングシート使用し、入院時に自己記入方式にて回答されたものを集計した。PCTの介入希望の有無を目的変数として、患者背景(性別、年齢、PS)とスクリーニングシートのスコアとの関係について、ロジスティック回帰分析を行った。 連続した260名の入院患者の内、同意拒否・意識障害・主治医判断等の理由により60名を除いた200名を解析対象とした。患者背景は平均年齢61.9歳、男性155名(77.5%)、PS2以上41名(20.5%)であった。緩和ケアチームの介入希望の有無と有意差の認められた患者背景因子は、PSであった(p<0.01)。患者背景で調整した結果、介入希望があった78名は介入希望がなかった122名と比較して、疼痛、疲労、息切れ、食欲不振、しびれ、気持ちのつらさの項目において、それぞれのスコアが有意に高かった(p<0.05)。多変量解析の結果、気持ちのつらさがPCT介入希望の有意な因子であった(p<0.05)。各項目についてカットオフ値を設定し、変数選択法を用いて緩和ケアチーム介入希望の有無との関連性を検討ところ、PSと気持ちのつらさが有意な因子であった(p<0.05)。 緩和ケアチーム介入を希望した患者の特徴として、嘔気・眠気を除く項目でスコアが高かった。介入希望の有無に影響する因子として、PSと気持ちのつらさがより強く寄与していることが認められた。 また、緩和ケアチームが介入した35症例については同時に、既に妥当性が評価されているEORTC-QLQ-C15-PAL日本語版質問票にて調査を行った。現在、スクリーニングシートの妥当性について比較検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の予定としては、スクリーニングシートが緩和ケアチームの介入が必要な患者を抽出するために妥当であるかの評価を行うことであった。平成23年度では、QOL評価シートとの比較により妥当性の検討を行うことができたが、カットオフ値の設定についてはさらに検討が必要であり、今後もスクリーニングシートの開発を継続していく必要がある。研究全体の進展度から考えた場合、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度においても、スクリーニングシートを用いて緩和ケアチームへのニーズを調査する予定である。さらに緩和ケアチーム介入前後でQOL評価を行い、緩和ケアチームの介入効果について検討していく。また、緩和ケアチームの介入内容によるQOLの変化を検討することで、緩和ケアチーム介入の有効性を検証していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度の研究の進行度はおおむね順調であったが、スクリーニングシート作成のための通信費などが未使用に終わった。次年度も引き続きスクリーニングシート作成に研究費を計上する予定である。次年度に関しては、情報収集のために日本緩和医療学会や関連学会に参加する予定である。また、スクリーニングシートの他に、QOL調査票の印刷や郵送などの通信費を計上する予定である。
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