2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23790743
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
中下 聡子 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (00569270)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | レビー小体型認知症 / 診断バイオマーカー |
Research Abstract |
従来の汎用されている認知症の診断マーカーは主にAD(アルツハイマー型認知症)についてが多く、また使用されるマーカーも頭部MRI、脳血流シンチグラフィー、PETなどの画像検査、髄液を用いたバイオマーカーが主体となっている。本研究では、(1)ADとの鑑別が必要でありかつ頻度が高く神経変性疾患の中でも重要な位置を占めているDLB(レビー小体型認知症)についての診断マーカー検索を標的としている点、(2)採取が簡便で臨床応用しやすい血液サンプルを診断マーカーとして検討している点、(3)DLBの血液サンプルでの診断マーカーとして3つの候補蛋白を同定しておりこれらを解析・検討を行うことで特異的なマーカーの確立が特色である。 これらの血清バイオマーカーと、髄液バイオマーカー画像所見などを組み合わせることでより診断精度があがり臨床的にも活用しやすくなることが予想される。また早期診断や病期診断を可能とすることで認知症診療の向上に寄与することが可能となる上、認知症疾患に対する医学的・社会的早期介入にも活用できることが期待される。今年度はDLBの血清バイオマーカーの確立のため、DLBのマーカー蛋白質検索実験で判明したDLB群での上昇が有意な診断マーカー候補蛋白についての検討を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血液中の目的蛋白を市販のELISAキットで測定を行った。既知のサンプルでDLB群、他疾患群(例えばAD,PD)、健常対症群をコントロール群としてテストセットを用いてELISAを施行し統計学的有意差を調べた。結果、一つの蛋白はコントロール群に対して有意な上昇を認め、臨床現場での認知症検査の結果と有意な相関を認めた。もう一つの蛋白はAD群に対して有意な上昇を認め、血清濃度19ng/mlをカットオフ値とすると、両疾患の鑑別における診断精度は感度95%、特異度66.7%であった。サンプル数が多くないため今後も検体数の蓄積が必要であるが、この市販のELISAキットで必要十分な結果を得られているため今後も実験を繰り返していくことで更に有用性を確認できると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、測定数を増やし更に有用性や、他のバイオマーカーとの組み合わせでの信頼性を確認していく。診断マーカーとしての精度、カットオフなどについてROC解析を行い感度・特異度を検証するとともに、Double blindにて血清サンプルをELISA法にて測定し、上記で決めた基準を用いて診断を行う。その後診断の正確性について確認を行い実用可能であるかを検証する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
市販のELISAキット、試薬、抗体の購入を行い、実験を進めていく。データベースの作成と、統計学的処理をよりスムースに行うための設備環境の充実にあてる。臨床情報をバイオマーカーとして用いるため、匿名性、個人情報の保護のため情報管理を厳重にすべき対策を実施する。結果の発表のため、国内外の学会への参加を予定している。
|