2013 Fiscal Year Research-status Report
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23790743
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
中下 聡子 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (00569270)
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Keywords | レビー小体型認知症 / 診断バイオマーカー |
Research Abstract |
現在認知症診断には主にAD(アルツハイマー型認知症)についての検討が多く、また使用されるマーカーも頭部MRI、脳血流シンチグラフィー、PETなどの画像検査、髄液を用いたバイオマーカーが主体となっている。 本研究では、(1)ADとの鑑別が必要でありかつ頻度が高く神経変性疾患の中でも重要な位置を占めているDLB(レビー小体型認知症)についての診断マーカー検索を標的としている点、(2)採取が簡便で臨床応用しやすい血液サンプルを診断マーカーとして検討し ている点、(3)DLBの血液サンプルでの診断マーカーとして3つの候補蛋白を同定しておりこれらを解析・検討を行うことで特異的マーカーの確立が特色である。 これらの血清バイオマーカーと、髄液バイオマーカー画像所見などを組み合わせることでより診断精度があがり臨床的にも活用しやすくなることが予想される。また早期診断や病期診断を可能とすることで認知症診療の向上に寄与することが可能となる上、認知症疾患 に対する医学的・社会的早期介入にも活用できることが期待される。 今年度はDLBの血清バイオマーカーの確立のため、DLBのマーカー蛋白質検索実験で判明したDLB群での上昇が有意な2つの診断マーカーを組み合わせることで、DLB群とAD+CTL(認知機能正常)群の診断精度が感度91%,特異度66%, AUC=0.862であった.認知症群を加えた検討でもこれらのマーカーの組み合わせることでDLB診断に有用であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
血液中の目的蛋白を市販のELISAキットで測定を行っており、今後の汎用性にも期待ができる。 二つの候補蛋白による実験で、既知のサンプルでDLB群と他認知症群では統計学的有意差を認めており、有用な診断マーカーとしても活用が期待できる可能性を示すことができている。 しかし更なる診断精度の向上や偽陽性・偽陰性などの検討のため、疾患群のサンプル収集が必要であるが、臨床的に診断される疾患群が限られており症例の蓄積を必要とするために予定期間を延長して研究をすすめる必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は症例の蓄積を行って診断精度の向上をはかるとともに、Double blindにて血清サンプルをELISA法にて測定し診断精度の確認を行う。 引き続き縦断的な症例も蓄積中であり、縦断的な症例の検討を行うことでバイオマーカーの意義を確認していく。その中で、複数のバイオマーカーを組み合わせることがよいか、個々のマーカーが疾患の病期や重症度との関連があるかなどを見出していき、臨床所見や検査データも検証した上で的確な診断、病期や重症度判定への有用性も検証を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度、実験を行うにあたって必要な検体の蓄積が不十分であり予定をしていた試薬の購入などの残額が発生した。また、結果の発表のための学会参加や論文化も見合わせている。 必要な検体収集をすすめて、市販のELISAキット、試薬、抗体と合わせて用いることとし、上記の計画を遂行するための実験を進めていく。 縦断的な検討をすすめるためのデータベースの作成中であり、今回利用している生体試料の測定結果のみならず、臨床上や経過なども匿名性を保ちつつ利用するための設備環境の充実にあてる。このことで統計学的処理をよりスムースに行うことが可能になると考えられる。その中でも一貫として個人情報の保護のため情報管理を厳重にすべき対策を実施する。 結果がまとまり次第、発表のため国内外の学会への参加や論文化を予定している。
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