2012 Fiscal Year Annual Research Report
非アルコール性脂肪性肝炎モデルマウスに対する漢方薬の効果
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23790753
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
高橋 芳久 帝京大学, 医学部, 准教授 (70334381)
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Keywords | 非アルコール性脂肪性肝炎 / 漢方薬 |
Research Abstract |
前年度に行った予備実験の結果をふまえ、最終年度では非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)モデルマウスに対する4種の漢方薬(小柴胡湯:TJ-9、茵陳蒿湯:TJ-135、十全大補湯:TJ-48、桂枝茯苓丸:TJ-25)の抑制効果を調べる本実験を行った。実験1では、9週齢のdb/dbマウスを以下の6群(各群6匹)に分けた:コントロール食群、メチオニン・コリン欠乏(MCD)食群、TJ-9群、TJ-135群、TJ-48群、TJ-25群。TJ-9、TJ-135、TJ-48、TJ-25群のマウスには、それぞれ1.5%のTJ-9、TJ-135、TJ-48、TJ-25を添加したMCD食を与えた。4週間後に屠殺し、血清生化学的、病理学的、分子的検討を行ったところ、TJ-9、TJ-48群ではMCD食群よりも血清AST、ALT値が有意に低く、NASHの肝組織像の有意な改善が見られた。また漢方薬投与により、肝組織における各種サイトカインやレセプター分子の発現に有意な変動が見られ、活性酸素による肝障害マーカーが有意に減少していた。実験2では、MCD食の代わりに高脂肪(HF)食を用い、屠殺時期を6週間後として同様の検討を行った。その結果、TJ-9、TJ-135、TJ-48群ではHF食群よりも血清ALT値が有意に低く、NASHの肝組織像の有意な改善が見られた。また、漢方薬投与により血清インスリン値の有意な減少が見られた。以上から、漢方薬がNASHモデルマウスに対して有意な抑制効果を発揮することが示された。また、明らかな副作用は確認されなかった。今回の研究結果から漢方薬はNASHの治療薬として有望と考えられ、臨床研究を含むさらなる研究が必要と考えられた。
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