2012 Fiscal Year Annual Research Report
腸肝軸におけるTLRシグナル乖離と腸内細菌の変化がもたらすNAFLD病態の解析
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23790758
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
澤田 康司 旭川医科大学, 医学部, 特任助教 (80548660)
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Keywords | 非アルコール性脂肪性肝疾患 / toll-like receptor / 脂肪酸 |
Research Abstract |
コンベンショナル環境下飼育のマウスにおいて高脂肪食投与を16週間行ったところ、炎症を伴わない単純性脂肪肝が誘導された。しかし、この炎症を伴わない脂肪肝において細菌構成成分を認識するToll-like receptors (TLRs)の発現は亢進しており、さらにTLRs シグナル のkey mediatorであるphospho-interleukin-1 receptor associated kinase 1の発現も亢進していた。一方で腸管におけるTLRsは発現低下しており、肝・腸管でのTLRsシグナルは乖離していた。 腸内細菌とTLRsの発現に関して腸内除菌モデルを作成し、腸内状態をSPF環境に近づけて同様の検討を行った。抗生剤投与により、高脂肪食投与下でも、体重増加抑制、肝脂肪化抑制を認め、肝組織TLRsの発現亢進も強く抑制されたが、腸管組織においては肝組織ほどの抑制はみられなかった。このことから、腸内細菌以外の要素もTLRsの発現変化に関与していると考えられ、脂肪酸に着目しin vitroの実験を行った。 培養細胞に脂肪酸刺激を加え、TLRの発現に関して検討を行った。肝細胞モデルHuh7, Kupffer細胞モデルTHP-1では脂肪酸刺激でTLRsの発現誘導がみられ、腸管上皮モデルCaco2では脂肪酸刺激でTLRsの発現低下が見られ、脂肪酸が肝・腸管でのTLRsシグナル乖離に関与している可能性が考えられた。 NASH進展の前段階であり、炎症を伴わない単純性脂肪肝の段階から、細菌構成成分を認識するTLRsの発現が亢進し、肝組織においては前炎症状態にあると考えられた。さらに、この前炎症状態は脂肪酸によりもたらされている事が示唆された。
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Research Products
(2 results)