2012 Fiscal Year Annual Research Report
新しい低侵襲治療「非穿孔式内視鏡的胃壁内反切除術」に関する基礎実験
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23790770
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
後藤 修 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (00589658)
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Keywords | 胃癌 / 胃粘膜下腫瘍 / 低侵襲 / 内視鏡 / 腹腔鏡 / 手術 / 局所切除 / 内視鏡的粘膜縫合 |
Research Abstract |
本研究は、ブタを用いた動物実験系において、胃腫瘍に対する新しい内視鏡切除法としての非穿孔式内視鏡的胃壁内反切除術の実現可能性および安全性を検証し、「管腔を穿孔させない胃壁全層切除」の臨床応用を実現させることを目的とした研究であり、平成24年度は生体ブタを用いて本術式の実行可能性および安全性に関する慢性実験を行うことを当初の計画として挙げた。前年度に報告した通り、すでにブタ3頭に対する1週間生存実験を終えてはいたものの、学会等における議論の中で病変切除部の耐性のさらなる確認が課題として挙げられたため、施設附置倫理委員会の承認を得た後、ブタ3頭を用いて生存期間を1か月に設定した慢性実験を施行した。結果、全例で術後経過良好であり、本法の安全性を確認することができた。さらに、切除部の耐性を挙げるための新しい内視鏡的粘膜縫合法を考案し、予算に余裕があったことから、ブタ胃と生体ブタを用いた動物実験を行いその実行可能性を確認した。結果は国内外学会および論文化の形で発表予定としている。 研究期間全体としては、申請時に計画した①ブタ切除胃を用いた机上実験、②生体ブタを用いた急性実験、③生体ブタを用いた慢性実験、の全てを期間内に予算の範囲内で実行し、本研究の目的である非穿孔式内視鏡的胃壁内反切除術における実行可能性と安全性の確認を達成しえた。さらに、本研究の実績を踏まえ、研究代表者の所属していた大学附属病院において倫理委員会承認の下胃粘膜下腫瘍に対する本法の臨床導入を実現し、異動先の大学附属病院においても、胃粘膜下腫瘍に対する本邦の実行可能性と安全性に関する探索的臨床研究を倫理委員会承認の下開始した。また、本法の安全性をさらに高める工夫として新しい内視鏡的粘膜縫合法を考案し、動物実験を通じてその実行可能性を検証した。今後は臨床における本法の適応拡大を視野に入れ、研究を継続している予定である。
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