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2011 Fiscal Year Research-status Report

抗B型肝炎ウイルス因子AID/APOBECがもたらす発がん

Research Project

Project/Area Number 23790780
Research InstitutionKanazawa University

Principal Investigator

喜多村 晃一  金沢大学, 医学系, 助教 (70378892)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywordsがん
Research Abstract

我が国の肝がん患者は20%がB型肝炎ウイルス(HBV)を保有しているが、ウイルスによる発がんがなぜ起こるのかは依然として明らかではない。HBVゲノムは宿主因子であるAIDやAPOBEC3Gによって高頻度突然変異(hypermutation)が導入されるが、本申請研究ではこの自然免疫としてのHBV hypermutation導入機構がウイルスのみならず宿主ゲノムへもダメージを与え、結果として肝がん発症の引き金となる可能性を検討している。本年度はC-to-Uによって生じるHBV DNA上のUに対する宿主因子UNGの作用を詳細に調べた。先行研究において、UNGの作用は、核局在型のUNG2が核内においてウイルス複製の鋳型であるHBV cccDNAをターゲットにしていると考えられたことから、このcccDNAを対象とした実験に適しているDuck HBV(DHBV)を用いた解析を行った。UNG阻害蛋白質であるUGIを用いたUNG活性阻害実験により、DHBV cccDNA hypermutationをUNGがキャンセルしていることを配列解析から明らかにした。これまでHBVではほとんどの変異解析がウイルス粒子内DNAで行われてきたが、UNG不活性の条件では、ウイルス粒子での配列解析から知られていたよりも高頻度に核内cccDNAへ変異が導入されていたことを示した。さらにこの変異の蓄積に付随してDHBV産生量減少が見られ、ウイルス遺伝情報を破壊していると考えられた。この作用はウイルス粒子でなく核内で起きていることから、宿主ゲノムへの関与の可能性も十分に考えられる。cccDNAはB型肝炎治療で用いられる抗ウイルス薬3TCによっては除去されず、薬剤耐性やがん関連変異株出現のソースと成り得ることが知られており、本研究でcccDNA変異頻度に影響が見られたことは重要な知見である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

初年度計画の通り、HBV感染モデルマウス作製(ウイルス発現プラスミドDNAの肝臓への導入)技術において、GFPレポーターによる遺伝子導入の確認及び複製されたウイルスDNAの検出を遂行した。しかしこの大容量のDNA溶液を尾静脈投与するハイドロダイナミクス法では、現時点で安定した導入効率が得られないため、結果の検討には時間を要すると考えられる。一方、新たに立ち上げたDHBVを用いたin vitroの解析系において、核内でウイルスDNAがAPOBEC3Gによって遺伝情報が破壊されるほど高頻度に変異導入を受け、UNGがこれをキャンセルするという強い証拠を得たので、現在論文としてまとめ、投稿を進めている。

Strategy for Future Research Activity

in vitroの解析系で一定の成果を得たので、in vivoの感染モデルマウス作製に注力する。すでに他研究者からの供与により遺伝子改変マウス導入を行い、現在実験のための繁殖コロニーを拡大している。次年度では、当初計画の通りに各遺伝子改変マウスに対してウイルス発現プラスミドDNA導入を行い、HBVウイルスゲノム解析、宿主ゲノム解析、病理解析を行う。本研究23年度の成果により、AID/APOBECとUNGが核内で働くことが示されたので、これらの因子による核内ウイルスDNA断片化及び宿主ゲノムへのダメージが生じていることが期待できる。また共同研究において、AIDの抗HBV活性についてこれまで想定されていない新たな知見がin vitroで得られたので、本研究課題のin vivo解析につなげたいと考えている。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

本年度は概ね計画通りに研究費を使用し少額が残った。これと当初予定の次年度分を合わせた使用計画となるが当初計画から大きな変更は無い。本研究継続に十分な研究機器の環境が、所属研究室及び所属機関の共通機器施設に整っているので、新たな設備備品費は計上しない。マウスへのウイルスDNA導入のために多量のプラスミド精製を行うので精製キットを購入する。解析では変異検出のためのPCRとDNAシークエンシングを多数行うため、Taqポリメラーゼや合成オリゴヌクレオチド、シークエンス試薬に加え、共通機器利用費がかかる。また、DNA傷害に特異的な免疫染色やウイルス検出のためのELISAに使用する抗体を購入する。国際的に研究成果を情報発信するために、2012年9月に英国で行われるHBVの分子生物学をテーマとする国際会議International Meeting on Molecular Biology of Hepatitis B Virusesへの参加を予定し、これに伴う外国旅費の経費を計上する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2011

All Journal Article (1 results) Presentation (3 results)

  • [Journal Article] APOBEC3Gの抗ウイルス作用2011

    • Author(s)
      村松正道、喜多村晃一
    • Journal Title

      臨床免疫・アレルギー科

      Volume: 56 Pages: 206-212

  • [Presentation] Contribution of Uracil DNA Glycosylase to anti-Hepatitis B virus effect of APOBEC3G2011

    • Author(s)
      Kitamura Kouichi, Wang Zhe, Chowdhury Sajeda, Shimazu Miyuki, Koura Miki, Muramatsu Masamichi
    • Organizer
      IUMS2011, XVInternational Congress of Virology第59回日本ウイルス学会学術集会合同開催
    • Place of Presentation
      札幌コンベンションセンター(北海道)
    • Year and Date
      2011年9月13日
  • [Presentation] Uracil Excision Repair Pathway in APOBEC3G-edited Hepatitis B virus Genome2011

    • Author(s)
      Kouichi Kitamura, Zhe Wang, Sajeda Chowdhury, Miyuki Simadu, Miki Koura, and Masamichi Muramatsu
    • Organizer
      日本分子生物学会第11回春季シンポジウム 金沢国際がん生物学シンポジウム
    • Place of Presentation
      石川県立音楽堂(石川県)
    • Year and Date
      2011年5月25日
  • [Presentation] Base Excision Repair Pathway in Hypermutated Hepatitis B virus Genome 高頻度突然変異を受けたB型肝炎ウイルスゲノムにおける塩基除去修復機構2011

    • Author(s)
      Kitamura Kouichi, Wang Zhe, Chowdhury Sajeda, Shimazu Miyuki, Koura Miki, Muramatsu Masamichi
    • Organizer
      第40回日本免疫学会学術集会
    • Place of Presentation
      幕張メッセ(千葉県)
    • Year and Date
      2011年11月27日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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