2012 Fiscal Year Annual Research Report
腸炎疾患におけるカハール介在細胞の可塑性を制御する分子機構と組織幹細胞
Project/Area Number |
23790782
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
堀口 和秀 福井大学, 医学部, 講師 (20377451)
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Keywords | カハール介在細胞 / 腸炎 / 発現解析 |
Research Abstract |
昨年度は、年度の後半に新たに我々の研究室に導入されたKIT-GFPマウス(C57BL/6系)を用いて、TNBS腸炎モデルマウス作製と細胞単離を実施するという計画の変更を行ない、炎症の発症とc-KIT発現細胞の減少を確認し、細胞分取にとりかかった。本年度は当初このサンプリングを進めたが、このマウスでは炎症の発症が一定せず、BALB/cマウスに比べ炎症度が非常に弱い個体が多かった。これは、系統差や遺伝子導入の影響がある可能性が考えられた。そのため、初めの計画通りBALB/cマウスによる実験に戻して実験を進めた。細胞分取の結果、結腸筋層全細胞のうちc-KIT+CD45-であるICCの割合はTNBS投与2日目では約0.1%、5日目では約0.8%、未処理のBALB/cマウスでは約1%であり、これはTNBS投与2日目でICCが減少し、以後回復するという形態学的所見と一致した。1年目にサンプリングを終えている分と合わせて、十分量のTNBS投与2日目、5日目および未処理コントロールマウス遠位結腸のICCを単離し、RNA抽出後、マイクロアレイ解析を行った。その結果、TNBS投与5日目で発現量が著しく増加する遺伝子として、insulin-like growth factor 1やRegenerating islet-derived family, member 4などの成長因子や、inositol 1,4,5-triphosphate receptor 3およびpotassium voltage-gated channel, subfamily Q, member 1といったチャンネル分子、さらにいくつかの細胞内シグナル伝達関連遺伝子が見出された。この結果から、本研究では特に炎症回復期におけるICCの再構築に関わる候補遺伝子や、ICCの機能回復に関わる候補遺伝子を新たに見出すことができた。
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Research Products
(4 results)