2011 Fiscal Year Research-status Report
C型肝炎ウイルス感染細胞による形質細胞様樹状細胞活性化機序の解明
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23790790
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 健 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60594372)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 免疫 |
Research Abstract |
本申請研究は、「形質細胞様樹状細胞(pDC)によるHCV感染細胞内のウイルスRNAの直接認とそれを引き金としたIFN産生」という申請者自身のこれまでの研究成果をさらに発展させ、この現象の詳細な機序を明らかにすることを目的として開始された。具体的には、細胞内でHCV RNAを恒常的に複製するHCV レプリコン細胞を用いて、細胞からの分泌小胞であるエクソソームが細胞間情報伝達機能を担うことに着目し、1. HCVレプリコン細胞からHCV RNA含有エクソソームが分泌されるかの検討、2. HCVレプリコン細胞から精製したHCV RNA含有エクソソームのpDC刺激によりpDCからのIFN産生が観察されるかの検討、3. レプリコン細胞内のHCV RNAがエクソソーム形成の場であるMVBに局在するかの検討、4. HCVレプリコン細胞内でのMVBの主要関連分子のノックダウンによりpDCからのIFN産生が抑制されるかの検討、の4つの項目の解析を通じて、pDC活性化過程におけるHCV RNA含有エクソソームの役割とHCV感染細胞内のMBV経路の役割を明らかにすることを主な研究目標としている。現在までにこれらの項目のうち、主に1, 2, 3を解析が進行中である。加えて、研究過程において、本研究が対象としているpDCの活性化現象が、pDC細胞内のシグナル伝達や活性化の表現型などの点で、従来報告されてきたpDCの活性化状態と大きく異なっているという知見が得られつつあり、この当初予期しなかった研究成果にも着目し研究を行っている。本研究の遂行の結果、HCV感染細胞によるpDCの活性化機序が詳細に明らかとなり、HCV感染における新たな宿主自然免疫応答機序の解明、さらにはC型肝炎に対する新規治療法の開発へつながることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在まで主に、上記の「研究実績の概要」の欄記載の項目1, 2, 3に関する検討を行ってきたが、HCVレプリコンより得られるエクソソームの収量が少なく、CD63, CD81などのエクソソームの表面マーカーを用いたウエスタンブロットや、エクソソームから抽出したRNA内のHCV RNAの検出が当初想定していたよりも困難であることが明らかとなってきたため、実験条件の改良や工夫を余儀なくされ、その点においては当初想定していた進行状況より遅れているといえる。ただし、研究遂行過程において、本研究が対象としているpDCの活性化状態が、従来報告されてきたpDCのそれとは大きく異なるという新たな知見も得られつつあり、今後はこの点も追求したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
前項でも記載のとおり、エクソソームを用いた実験に関して、HCVレプリコン細胞より分離できるエクソソームの収量の問題から、CD63, CD81などのエクソソームの表面マーカーを用いたウエスタンブロットや、エクソソームから抽出したRNA内のHCV RNAの検出が、当初想定していたよりも困難であることが明らかとなってきた。今後は実験条件の改良や工夫を行い、収量の改善を目指したいと考える。また、「研究実績の概要」の欄記載の項目4に関して今後着手していく予定である。また、当初予期していなかったが、この度、研究遂行過程において得られた上記の新たな知見に関しても、次年度で追求したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度も引き続き、pDC分離のための基本的な試薬や抗体、また、HCVレプリコン細胞からのエクソソーム分離やその解析に使用する試薬、特に抗体やPCR試薬に研究費を充当する。また、「研究実績の概要」の欄記載の項目3での研究に必要とされるHCV RNA検出のためのFISH関連試薬や、項目4での研究に使用するsiRNA関連試薬にも研究費を使用する。この度研究過程で明らかとなった、従来の報告とは異なるpDCのシグナル活性化経路と表現型のさらなる解析のために、pDCによるNFkappaB依存性炎症性サイトカイン産生検討のためのELISA解析や、pDCの活性化マーカー分子のFACS解析も予定しており、これらの実験のための抗体や必要試薬も購入予定である。
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Research Products
(1 results)