2011 Fiscal Year Research-status Report
非アルコール性脂肪肝炎およびその動物モデルにおける免疫寛容破綻の役割
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23790791
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
濱口 真英 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任研究員 (80350883)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 消化器内科学 / 免疫学 / 自己免疫 / 自然炎症 / インスリン抵抗性 / 脂肪肝 / 制御性T細胞 |
Research Abstract |
肥満細胞はさまざまな炎症性サイトカインを産生することが知られており、これらはアディポカインと呼ばれている。アディポカインのひとつであるレプチンの免疫細胞対する作用および作用機序は明らかでない。我々は、制御性T細胞、ナイーブCD4+T細胞では低レベルの、抗原提示細胞とくに樹状細胞で高レベルのレプチン受容体の発現を認めた。レプチンは制御性T細胞・ナイーブCD4+T細胞・抗原提示細胞何れにも作用し、活性化させることを認めた。しかしその効果は相対的に異なり高レプチン濃度下では免疫抑制機能が低下することが判明した。ジフテリアトキシンにて制御性T細胞除去可能マウス(Deregマウス)に高脂肪職を与え、制御性T細胞の除去と脂肪肝・肝炎の関係を解析した。制御性T細胞除去により肝炎が発症することが期待されたが、最大の効果は意外なことに炎症細胞浸潤の悪化に加え、肝脂肪化自体の悪化であった。制御性T細胞除去により体重の減少を認めたにもかかわらず、肝脂肪化自体がコントロール群より悪化していた。このことは制御性T細胞の消失による免疫寛容の破綻が、自己免疫を惹起して肝組織への炎症細胞浸潤を増加させるのみならず、発症した炎症自体も肝脂肪化に悪影響を与えうることを意味している。一方、人における非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の病態と免疫自己寛容の関連を評価すべく、コホート調査を実施した。この調査により、副次的に脂肪肝とメタボリックシンドロームとの重複・飲酒・性差・加齢につき新規的所見が得られたため論文にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成23年度研究計画は研究のための動物モデルを作成し、単純性脂肪肝に加え、自己免疫疾患による炎症で、脂肪肝炎が発症、もしくは重症化することを観察することであった。我々はすでに研究のための動物モデルを作成し終わり、作成した動物モデルでの脂肪肝炎・肝繊維化の程度を病理学的に評価している。さらに同時に実施した人を対象としたコホート研究でも新規的所見が得られ、すでに論文にて報告しえている。このため、当該研究は当初の計画以上に進展したと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
高レプチンによる自己免疫寛容破綻と非アルコール性脂肪肝炎の関連を検討するため、一過性に制御性T細胞を除去し、脂肪肝炎を評価した。Dereg群はジフテリアトキシン投与により体重の減少を認めたにもかかわらず肝脂肪化自体もコントロール群より悪化していた。このことは制御性T細胞の消失による免疫寛容の破綻が、自己免疫を惹起して肝組織への炎症細胞浸潤を増加させるのみならず、発症した炎症自体も肝脂肪化に悪影響を与えうることを意味している。今後は免疫自己寛容の破綻が肝脂肪化に与える影響を検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き、実験動物購入、動物飼育費・餌代等、細胞生物学的解析試薬、生化学的解析試薬、分子生物解析試薬購入に研究費を使用する予定である。
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