2011 Fiscal Year Research-status Report
消化器癌の遺伝子異常の網羅的探索とそれらをターゲットにした標的治療の臨床への応用
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23790800
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
能正 勝彦 札幌医科大学, 医学部, 助教 (10597339)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 大腸癌 / microRNA |
Research Abstract |
(1) Pyrosequencing法により大腸腫瘍におけるKRAS、BRAF、PIK3CAの遺伝子変異を検出 大腸癌・大腸ポリープの臨床検体のパラフィン標本からDNAを抽出。それらを用いてKRAS(codon 61、146)、BRAF(V600E)、PIK3CA (exon 1、9、20) の遺伝子変異を検出する。その方法として高感度Pyrosequencing technologyを用いるが、primerやdispensation orderは独自に作成。大腸癌・大腸ポリープにおける遺伝子変異のより正確な頻度を解明し、epidermal growth factor receptor (EGFR) 標的治療薬剤であるCetuximab やPanitumumab等の感受性を検討する。また遺伝子変異のみならず大腸発癌に関わる遺伝子のメチル化やゲノムワイドDNAメチル化の指標となるLINE-1のメチル化レベルも検討する。(2) microRNAやDNAを用いて大腸多重癌症例もしくはポリープ多発例の遺伝子異常を解析 同一症例の大腸粘膜から発生する腫瘍の発育には同じパターンの遺伝子異常が関与している可能性が示唆される。よってそのメカニズムを解明するため大腸の腺腫、鋸歯状病変などが多発する症例の正常粘膜も含めた遺伝子異常を解析。特に多発ポリープや正常粘膜におけるLINE-1のメチル化レベルをPyrosequencing法を用いて解析する。またノンコーディングRNAの一つであるmicroRNAの発現に関してもアレイシステムを用いて網羅的に解析を行い、同一個人の腸管内でおこるそれらの異常を比較検討して大腸発癌の機序を解明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大腸癌・大腸ポリープの臨床検体の集積は順調であり、パラフィン標本からDNAのみならずmicroRNA抽出にも成功している。それらを用いてKRAS(codon 61、146)、BRAF(V600E)、PIK3CA (exon 1、9、20) の遺伝子変異をパイロシークエンサーで検出するのにも成功しており大腸癌・大腸ポリープの遺伝子変異の解析を行うことが可能となっている。またそれらの遺伝子変異のみならずLINE-1メチル化レベルの解析も順調であり、5-FUや分子標的薬剤との感受性の検討も順調に進んでいる。同一症例の大腸癌、他部位に存在するポリープ、また正常粘膜からもDNAやmicroRNAを抽出するのにも成功しており、いくつかのDNAメチル化のマーカーが共通の遺伝子異常をきたしていることも明らかにしつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
大腸癌の遺伝子変異やDNAメチル化の解析はほぼ終了しているため、次に抽出したmicroRNAをアレイシステムで網羅的にその遺伝子発現を解析する予定。その解析から診断・治療のバイオマーカーになりうるmicroRNAを同定する予定。症例の集積が可能であれば大腸癌以外の消化器癌でも同様の検討を行う予定。また消化器癌(食道癌, 胃癌, 胆管癌, 膵癌)の臨床検体を用いて, 特異的なT-cell リンパ球(CD3, CD8, CD45RO, FOXP3等)の免疫染色を行い、大腸癌と同様にそれらが予後に相関するバイオマーカーとなりうるか解析を進める予定。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消化器癌症例から抽出したmicroRNAをアレイシステムで網羅的にその遺伝子発現を解析するため、研究費からそれらのパラフィンブロック切り出しと抽出薬の費用を捻出。またアレイシステムのキットも購入する予定。これらの作業に携わる研究補助員の謝礼も研究費から支払う予定。特異的なT-cell リンパ球(CD3, CD8, CD45RO, FOXP3等)の免疫染色に用いる抗体の購入を行う予定。
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Research Products
(11 results)