2012 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌の遺伝子異常の網羅的探索とそれらをターゲットにした標的治療の臨床への応用
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23790800
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
能正 勝彦 札幌医科大学, 医学部, 助教 (10597339)
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Keywords | 大腸癌 / microRNA / 大腸鋸歯状病変 |
Research Abstract |
我々は大腸癌の新たな発癌経路として注目されているserrated neoplasia pathwayでその前癌病変と考えられる大腸鋸歯状病変の遺伝子解析を検討した。対象は内視鏡治療で得られたhyperplastic polyp(HP)、sessile serrated adenoma/polyp(SSA/P)、traditional serrated adenoma(TSA)等の約400例の大腸鋸歯状病変とコントロールとしての200例の大腸腺腫と800例の大腸癌で、それらの臨床検体からDNAとRNAを抽出した。それらの中でもノンコーディングRNAの一種であり、近年、様々なヒトの癌においてそれらの発現異常が報告されているmicroRNA(miRNA)にも着目し、その発現を解析した。大腸鋸歯状病変におけるmiRNA発現は、これまでにほとんど報告がないため、今回、アレイシステムを用いて解析したところ、SSA/PでHPと比較して有意に発現亢進しているmiRNAが同定された。このmiRNA発現を多症例の大腸鋸歯状病変で検討したところ、HP(19%)と比べSSA/P(43%)とTSA(45%)で有意に発現亢進(P <0.0001)が認められたことからserrated neoplasia pathwayにおいて病変の発育進展にそのmiRNAが重要な役割を果たしている可能性が示唆された。また我々は大腸癌細胞株を用いた機能解析で、このmiRNAを抑制することで強い抗腫瘍効果が得られることも証明できたことから、新規癌治療方法として他の抗癌剤との併用も含め、臨床応用へ向け、更に解析を進めているところである。以上、このmiRNAはSSA/Pの分子診断や高齢者大腸癌の分子標的治療にも応用できる可能性があり、更なる解明が期待される。
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Research Products
(10 results)