2012 Fiscal Year Research-status Report
ARBはcolitic cancerを予防するか?-IBDへの臨床応用を目指して
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23790802
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
水島 隆史 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (60433223)
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Keywords | IBD / colitic cancer / AT1R / ARB / telmisartan |
Research Abstract |
AT1R制御による大腸炎の抑制やテルミサルタンによる腫瘍抑制効果がcolitic cancer発生の予防につながるかをcolitis-associated colon cancer動物モデルで検討し、その免疫学的・分子生物学的メカニズムを解明することが当研究の目的である。H23のcolitis-associated colon cancer動物モデルで、実際にcolitic cancerが発生するかを予備実験として施行し、当施設の飼育環境ではDSSの至適濃度が2%であることを見つけだした。その後、AT1Rを阻害するためにAT1R受容体阻害剤であるテルミサルタンを自由飲水によりマウスに摂取させることにより腫瘍発生抑制効果をin vivoにて検討した。9w齢の雄のC57BL/6Jを使用した。AOM(10mg/kg, i.p)をday0に投与して2%DSSを2週目に自由飲水にて投与した。その後4週目からテルミサルタンやDMSOなどの投与を行った。17週目にマウスを安楽死して腫瘍発生抑制効果を判定した。・A AOM(10mg/kg, i.p)+2%DSS投与群 10匹 ・B AOM(10mg/kg, i.p)+2%DSS+5 mg/kg/dayテルミサルタン投与群 ・C AOM(10mg/kg, i.p)+2%DSS+5 mg/kg/dayDMSO投与群 ・D 5 mg/kg/dayテルミサルタンのみ投与群 評価は、マウスの体重変化、腸管長にて腸管炎症の評価と腫瘍発生個数と平均腫瘍径を17w後に評価した。それぞれ、マウスの体重変化や腸管長には差はなかった。A群(テルミサルタン非投与群)とB群(テルミサルタン投与群)において、腫瘍の発生個数と平均腫瘍径についてB群でやや発生個数の低下傾向は認められたが、統計学的な有意差は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今回の検討では、wild typeのマウスによるテルミサルタンによる明らかな腫瘍発生抑制効果は認めなかったために、現時点では、AT1Rノックアウトマウスでの検討へは進めない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の検討では、wild typeマウスでの炎症性発癌によるテルミサルタンの腫瘍発生抑制効果を示すことはできなった。しかし他のグループの報告では、肥満モデルマウスによるAOMによる発癌効果をテルミサルタンの注腸投与にて抑制した等の報告がある。テルミサルタンの投与方法の検討などは再度必要と考えられる。また、腫瘍に関しても腫瘍の発生個数が少なく有意差が出現しない可能性もあり、腫瘍の前病変といわれているACF(Aberrant crypt foci)は100前後発生するといわれており、ACFの発生抑制効果の検討も施行したい。また、腫瘍抑制効果の差を、βカテニンなどの免疫染色により検討したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
wild typeのマウスによるテルミサルタンによる明らかな腫瘍発生抑制効果は認めなかったため、再度検討を必要とする。合わせて、テルミサルタン以外のAT1R阻害剤での腫瘍抑制効果の可能性についての検討も行いたい(カンデサルタン等における腫瘍抑制効果の報告もある)。薬剤購入費。また、実際にAT1Rノックアウトマウスにおいて本当にAOMとDSS投与における腫瘍発生抑制効果があるのかどうか、についても検討が必要だと思われる。AT1Rノックアウトマウスの購入を必要と考える。wild typeマウスでの検討が進まなかったため、購入予定であったAT1Rノックアウトマウスを次年度に購入する予定である。このマウスは購入にも飼育にも通常のマウスより費用がかかるため、未使用分の研究費をこの費用に補填したいと考えている。
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