2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23790804
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
飯島 沙幸 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (00416273)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | HCV / Peg-IFNα+RBV / IFNλ / SNP / ISG |
Research Abstract |
ゲノムワイド探索により、C型肝炎(HCV)に対するペグインターフェロン・リバビリン治療効果を規定する因子としてヒト遺伝子IL28B(IFN-λ)の遺伝子多型が報告されたが、その機能発現の分子メカニズムは不明である。本研究ではIL28B遺伝子とinterferon-stimulated genes (ISG)との関連に注目し、1. IFN-λ遺伝子ノックアウト(KO)細胞株の作成とIFNによるISGs誘導の網羅的解析、2. IL28B遺伝子多型の異なるHCV感染患者由来の末梢血リンパ球におけるISGの網羅的解析を行い、1-1;IL28B遺伝子KO細胞株の探索:数種類の肝癌細胞株に対しPCRによりIFNλ特異的レセプター(IL28RA) の発現を確認し、またレポーターアッセイによりJak/STAT経路の機能を検証した。さらにIL28B SNPを解析し細胞株を選別した。現在遺伝子KO処理後クローニング中である。2-1;HCV感染患者由来の末梢血リンパ球におけるISGの網羅的解析:PEG-IFN/RBN併用療法を開始したHCV(セロタイプ1)10例、IL28BのSNP(rs8099917)はメジャー(Ma)7例、ヘテロ(He)3例を対象とした。PEG-IFN投与前、投与後8時間、24時間に回収したPBMCからRNAを抽出し、まず自然免疫にフォーカスしたマイクロアレイで発現解析を行った結果、31遺伝子でMaとHeのISG変動に差異を認めた。これらの遺伝子についてリアルタイムPCRで定量解析を行ったところ、抑制系因子の遺伝子発現において投与前、8、24時間でMaが高いことが確認された。PEG-IFN/RBN投与初期の抑制系ISG変動とウイルス減少に関連性を認めた。従ってIFN投与による初期抗ウイルス効果には、発現増強するISGと同時に抑制系遺伝子動態も関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
IL28B遺伝子KO細胞樹立に時間がかかっている。理由(1)肝癌由来の細胞株では染色体数が多倍体化している可能性が高く、細胞内の遺伝子を完全にKOするにはKO処理の繰り返しが必要である。また、理由(2) IL28B遺伝子はIL28A遺伝子と相同性96%のため、遺伝子KOの際に双方の遺伝子が欠損する恐れがある。この二つの条件をクリアするために、再度実験方法を検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子KO方法について、CompoZrTM Zinc Finger Nucleaseシステムだけでなく、他のシステムも検討中である。またIFNλあるいはI型IFNレセプターを阻害した上で、I型・III型IFN刺激によるISG誘導解析を計画している。一方、患者由来PBMCを用いた発現解析によって抽出された遺伝子に関して、プロモーター領域の配列解析や、siRNA等による遺伝子ノックダウン等を試み、IFNλとの関連性を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
RNA抽出用試薬、ウェスタンブロッティング用抗体・試薬、遺伝子KOシステム検討用試薬の購入が必要となる。また、解析手法などの情報収集のため他施設を訪問するための旅費、成果発表のための旅費、学会参加費等が必要となる。
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