2012 Fiscal Year Annual Research Report
チモーゲン顆粒膜タンパク質が作動する細胞内物流システムの解明
Project/Area Number |
23790808
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
川島 麗 北里大学, 医療衛生学部, 助教 (70392389)
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Keywords | チモーゲン顆粒 / メンブレントラフィック |
Research Abstract |
メンブレントラフィック機構を解明する目的で、特定タンパク質動態の視点から解析を行った。膵臓腺房細胞のチモーゲン顆粒膜に特異的多量発現するタンパク質Glycoprotein 2 (GP2) の分子特性と物質輸送に関わる相互作用分子を同定し、連携のしくみを明らかにすることを目標とした。 膵臓線房細胞におけるGP2の生物学的機能を明らかにすることから開始した。野生型マウスとGP2ノックアウトマウ スにおいて、野生型マウスにおいて絶食によるアミラーゼ酵素活性が低下したのに対し、GP2ノックアウトマウスでは酵素活性低下に対して低反応性を示した。リアルタイムPCRによる消化酵素遺伝子およびエンドサイトーシス関連分子の定量的解析を行ったところ、トリプシノーゲンの遺伝子発現において変化が見られた。野生型マウスでは、絶食により発現の上昇が見られたが、GP2ノックアウトマウスでは、発現の上昇が見られなかった。 これより飢餓状態では、細胞内酵素量および全身のタンパク質代謝回転の恒常性維持のため、分泌顆粒の構成性分泌を調整することで、余剰なチモーゲン顆粒の細胞内蓄積を制御するメカニズムが働いている可能性が示唆された。そして、このGP2はこの維持メカニズムが正常に働く上で重要な役割を担っていると推察された。 また、GP2と相互作用するタンパク質を同定するため、免疫沈降法を用いて検討を行ったところ、数種のタンパク質が結合形態を示した。この複合体のウエスタンブロットおよび免疫組織染色を行ったところ、ゴルジ体マーカーおよびオートファジー関連分子である可能性が示唆された。これより、GP2は、ゴルジ体における糖鎖修飾等のタンパク質分泌機構および細胞内オートファジー物質処理機構に至るまでの連携に関与していると考えられる。
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Research Products
(8 results)