2012 Fiscal Year Annual Research Report
レチノイン酸による肝臓インスリン感受性増強機構の解明と創薬開発への応用
Project/Area Number |
23790819
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
土谷 博之 京都薬科大学, 薬学部, 講師 (00403402)
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Keywords | レチノイン酸 / STAT3 / インスリン抵抗性 / アンチセンスRNA / レプチン |
Research Abstract |
平成24年度は、all-transレチノイン酸(ATRA)によるレプチン受容体遺伝子(LEPR)発現制御機構におけるレチノイン酸受容体(RAR)の関与について検討を行った。その結果、RARのアンタゴニストであるLE540存在下では、マウス不死化肝細胞株TLR-3でのATRAによるLEPR遺伝子発現誘導が有意に抑制された。今回の研究を通し、ATRAなどのレチノイドは、LEPR遺伝子の約2000塩基対上流に存在するレチノイン酸応答配列へのRARαまたはβの結合を介してLEPR遺伝子発現を誘導することが示された。すなわちLEPR遺伝子はインスリン抵抗性の改善をもたらすレチノイドの標的遺伝子であることが明らかとなった。 また以前の研究から、ATRAによるインスリン抵抗性改善作用において転写因子STAT3は、インスリン感受性増強遺伝子を発現誘導している可能性が示唆された。そこで平成23年度においては、TLR-3を用いて網羅的探索を行い、27転写領域を新規STAT3標的遺伝子として同定した。さらに平成24年度ではこの27転写領域の内、遺伝子Xとそのイントロンから逆方向に転写される転写領域antiXに着目し検討を行った。その結果antiXは2種類のスプライシングバリアントが存在することが明らかとなった。またその塩基配列は哺乳動物間で高度に保存されており、何らかの生物学的意義を持つことが示唆された。またインスリン抵抗性マウスへのTRA投与は肝細胞のSTAT3活性化を伴うインスリン抵抗性の改善をもたらすが、ATRA投与後の肝臓では、未処理のインスリン抵抗性マウス肝臓と比べ、転写領域antiXおよび遺伝子Xが有意に発現亢進していた。現在antiXおよび遺伝子Xのインスリンシグナルへの関与について機能解析を進めている。
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