2011 Fiscal Year Research-status Report
CD34陽性細胞移植による肝硬変症に対する効率的な肝再生促進法の開発
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23790822
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
中村 徹 久留米大学, 医学部, 助教 (30341332)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | CD34陽性細胞 / 肝硬変 / 肝線維化 / 肝再生 / 細胞療法 |
Research Abstract |
【方法】健常ヒト末梢血より比重遠心法を用いて単核球分画を分離し、さらに磁気細胞分離システムを用いてCD34+細胞を分離した。肝線維化モデルは免疫不全ラット腹腔内に週2回3週間50%四塩化炭素(CCl4)を投与し作製した。その後脾臓より生理食塩水あるいは1×105 (低用量群),5×105 (中用量群),2×106 (高用量群)cells/kgの細胞量でCD34+細胞を投与した。その間もCCl4は投与を続け、CCl4投与開始後43日目に屠殺した。CD34+細胞の生体内での分化の評価を免疫組織化学を用いて行った。線維化の評価としてAzan染色, collagen-I, alpha-SMAに対する抗体を用いた免疫組織化学、リアルタイムPCRによるmRNA定量評価および血液生化学的検討を行った。細胞外基質分解系の検討ではMMP-2,-9,-13, TIMP-1についてザイモグラフィー、リアルタイムPCRを用いて検討した。肝細胞増殖活性の評価として抗Ki67抗体を用いた免疫組織化学を行った。【結果】生体内に移植したCD34+細胞は、CD31+あるいはsmooth muscle myosin heavy chain(SM1)+細胞へ分化した。Azan染色による線維化率は、非投与群と比較しCD34+細胞投与群が有意に低値であり、移植細胞数依存性に線維化の進展が阻止された。CD34+細胞移植群ではMMP-2,-9,-13の発現の亢進を認める一方、TIMP-1は抑制されていた。ザイモグラフィーではCD34+細胞移植群で強いゼラチナーゼ活性を認めた。Ki67陽性肝細胞率はCD34+細胞投与群で明らかに増加していた。CD34+細胞投与群では各種肝再生因子の発現亢進が認められた。血液生化学的検査値はCD34+細胞移植群で有意な肝機能の改善を認め、生存率はCD34+細胞投与群では全例生存した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していた研究計画内容に基づき、それらすべてを行うことができた。さらに一部の研究内容については当初の研究が順調に進展したことより、前倒しで行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.健常人末梢血CD34陽性細胞の培養によるEPCへの分化・増幅 (Ex vivo増幅CD34陽性細胞) EPCへの分化・増幅法は、先端医療振興財団先端医療センター血管再生研究グループ、浅原孝之教授(東海大学医学部基盤診療学系再生医療科学 教授)らのグループとの共同研究により、培養法を確立する。その機能解析は、(1)コロニーアッセイを行い、EPCとしての機能評価を行う。(2)培養前後の細胞よりRNAを抽出し、血管内皮細胞表面マーカー、分化マーカーについてFACS解析、RT-PCR、リアルタイムPCRを用いて発現レベルを解析する。2.H23年度に確立した肝硬変症動物モデルへのex vivo増幅CD34陽性細胞の投与(移植) 移植細胞数は増幅可能な細胞数に定める(H23年度の動物実験モデルの際に設定した高用量群の約10倍の移植細胞数を想定している)。その移植細胞数を1回投与あるいは2週毎に3回に分けて分割投与する[移植細胞数(想定値):2×107 cells/kg, 1回(1回投与群)あるいは3回(頻回投与群)]。投与経路は尾静脈(全身投与)より投与する。肝硬変症の線維化改善率の移植細胞数依存性か、またそれを分割投与した方がよいのか否かを検討する。対照群には、生理食塩水あるいは紫外線照射後のCD34陽性細胞を投与する。解析内容は(1)肝硬変症の改善評価としてアザン染色、及び抗I型コラーゲン,抗alpha-SMA,抗PCNA各抗体を用いた免疫組織化学による免疫局在の観察、(2)肝組織よりRNAを抽出し、リアルタイムPCR法を用いてI型コラーゲン,alpha-SMA,TGFalpha,HGF,EGF,VEGFのmRNAレベルでの定量評価、(3)肝組織をすりつぶし、リアルタイムPCR法、ゼラチンザイモグラフィーを用いてMMP-2,-9,-13のmRNAと蛋白発現、蛋白活性評価、(4)血液生化学検査
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費として、(1)ラット購入代、(2)細胞培養関連(StemSpam-SFEM、VEGF、SFC、IL-6、FL3-Ligand、TPO)、(3)コロニーアッセイ用関連(MethoCult H4236、EGF、bFGF、IGF-1、hepalin、FBS)、(3)リアルタイムPCR用試薬(プライマー、TaqMan PCR Master Mix)、(4)ゼラチンザイモグラフィー用ゲル代を予定とし、旅費として、成果の一部の発表あるいは情報収集を目的として、日本肝臓学会総会(金沢)、日本消化器病学会(神戸)、アメリカ肝臓学会(ボストン)への出席を予定する。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Human peripheral blood CD34-positive cells enhance therapeutic regeneration of chronically injured liver in nude rats.2012
Author(s)
Nakamura T, Tsutsumi V, Torimura T, Naitou M, Iwamoto H, Masuda H, Hashimoto O, Koga H, Abe M, Ii M, Kawamoto A, Asahara T, Ueno T, Sata M.
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Journal Title
Journal of Cellular Physiology
Volume: 227
Pages: 1538-1552
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Rescue therapy by autologous infusion of granulocyte-colony stimulating factor-mobilized peripheral CD34-positive cells in patients with decompensated liver cirrhosis2011
Author(s)
Nakamura T, Torimura T, Iwamoto H, Kurogi J, Sumie S, Hukushima N, Kumamoto M, Sakata M, Masuda H, Hashimoto O, Tsutsumi V, Ueno T, and Sata M
Organizer
第62回 AMERICAN ASSOCIATION FOR THE STUDY OF LIVER DISEASES(AASLD)
Place of Presentation
San Francisco, California, United States
Year and Date
2011年11月8日
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