2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23790824
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
山崎 博 久留米大学, 医学部, 助教 (20529565)
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 白血球除去療法 / 神経ペプチド |
Research Abstract |
白血球除去療法(LCAP)の作用機序について不明な点が多い。本研究の最終目的は、LCAP作用メカニズムの解析によるIBDの病態の解明とLCAPの作用機序に関わるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)自体の治療応用の可能性について検討を行うことである。最初に、LCAPの治療効果発現におけるCGRPの意義を検討した。初年度は、HLA-B27 transgenic ratに週1回計3回LCAPを施行し、臨床スコア、内視鏡スコア、骨髄細胞動員、腸管粘膜血流をShamカラム群と比較した。CGRPとその受容体であるRAMP1、CRLRの組織中mRNA発現をreal time-PCR法により測定した。LCAP施行時にCGRP拮抗剤を経静脈投与しLCAPの効果に及ぼす影響を検討した。その結果、 HLA-B27 transgenic ratにLCAPを施行すると、Sham群に比べ臨床スコア、内視鏡スコア、骨髄細胞の誘導、腸粘膜血流の改善、CGRP mRNA発現の増加を認めた。RAMP1、CRLR mRNA発現には変化を認めなかった。LCAPの作用はCGRP拮抗剤の前投与によって抑制されたことが確認できた。次年度は、DSS大腸炎ラットにCGRPを7日間経静脈投与し、臨床スコア、内視鏡スコア、炎症性サイトカイン、骨髄細胞動員、腸管粘膜血流の変化をcontrol群と比較した。 その結果、DSS大腸炎モデルにCGRPを投与すると、Control群に比べ臨床スコアの改善、内視鏡スコアの改善、炎症性サイトカインの抑制、骨髄細胞の誘導、腸粘膜血流の改善を認めた。LCAPの組織修復作用および抗炎症作用は、CGRPの誘導に依存していることが示唆された。またこれらの検討によりCGRPは、抗炎症作用、骨髄細胞の動員による組織再生、腸管血流増加作用に関与することが示唆され、IBDの治療標的の可能性が考えられた。
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Research Products
(2 results)