2011 Fiscal Year Research-status Report
大動脈疾患での転写因子KLF6を軸とした病態機構解明と治療法の開発
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23790839
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
澤城 大悟 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (40456132)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 大動脈 |
Research Abstract |
転写因子Krüppel-like factor 6 (KLF6)の心血管系における役割はほとんど知られていない。他のKLF因子(KLF2,3,5,15等)の役割からはKLF6も同領域において重要な働きをしている事が推測され、現在までの検討にて病態刺激下での大動脈壁遺伝子発現や臓器線維化に変化をもたらす因子である事が明らかとなっている。今研究ではその知見を更に展開しwhole bodyもしくはconditionalノックアウトマウスを用いた各種病態刺激への大動脈壁を始めとしたリモデリングの検討、分子生物学的手法等を通してKLF6の特に大動脈疾患における役割を明らかにし、大動脈解離及び大動脈瘤における新規病態マーカーや新規治療法の標的発見に至る事を目標としている。 研究計画としてまずKLF6の大動脈発生・発達における役割の解明、発生諸段階での胸部大動脈原基周辺におけるKLF6発現をマウス胎児において確認した。またKLF6ヘテロノックアウトマウス・臓器特異的KLF6ノックアウトマウスを用いた各種病態刺激に対しての大動脈反応の検討を行った。具体的にはアンギオテンシンII持続投与(急性・慢性)・内頸動脈結紮術・高食塩/高脂肪食負荷を行い、通常マウスとの反応差異の形態学的・組織病理学的検討を加え、それぞれにおけるKLF6の発現状況を確認した。アンジオテンシンII負荷によりKLF6は早期(1-3時間)で転写レベルが亢進し、バルーン血管床外モデルにおいても蛋白レベルでの発現亢進が認められた。KLF6ヘテロノックアウトマウスではIL6/gp130経路に属するSOCS3等の発現が亢進していることを認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H23年度は(i)KLF6の大動脈発生・発達における役割の解明、発生諸段階でのKLF6発現・消退の経過を確認及び、(ii)KLF6ヘテロノックアウトマウス・臓器特異的KLF6ノックアウトマウスを用いた各種病態刺激に対しての大動脈反応の検討により、通常マウスとの反応差異の形態学的・組織病理学的検討、それぞれにおけるKLF6の発現状況の確認を行うことを目的としていた。この2点については上述の如く成果を得ている。また同時に並行して(iii)初代継代線維芽細胞・平滑筋細胞・内皮細胞・心筋細胞・前脂肪細胞を用いKLF6 gain of function, loss of function等in vitroでの検討によりKLF6強制発現・ノックダウンによる影響の検討、KLF6下流因子の同定も目標としていたが、この点についての達成が遅れておりH24年度は速度を上げていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
H23年度に引き続き、初代継代線維芽細胞・平滑筋細胞・内皮細胞・心筋細胞・前脂肪細胞を用いKLF6 gain of function, loss of function等in vitroでの検討、具体的にはアンギオテンシンII等病態刺激によるKLF6発現・被転写活性化因子の同定(マイクロアレイ・クロマチン免疫沈降)、アデノウイルスベクター等によるKLF6強制発現の影響、またRNA干渉等を用いた選択的KLF6ノックダウンによる影響の検討、KLF6下流因子の同定を行う。また平成23年度の実験成果に基づいて大動脈リモデリング性疾患の治療標的としてのKLF6の具体的な戦略を検討する。また、iv)KLF6ノックアウトマウスとAPO-EノックアウトマウスまたはKLF5ノックアウトマウスの交配による動脈硬化性粥腫安定性・大動脈壁変性の変化の検討を行う。KLF6臓器特異的ノックアウトマウス(Periostin-CreやSM22-Cre等)及びKLF6/APO-EまたはKLF6/KLF5ダブルノックアウトマウス系統確立後、KLF6の大動脈発生・発達における役割の解明、発生諸段階でのKLF6発現・消退の経過確認や各種病態刺激に対しての大動脈反応の検討を更に行い、KLF6の病態での意義・治療標的化の可能性について評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主にはKLF6ノックアウトマウスとAPO-EノックアウトマウスまたはKLF5ノックアウトマウスの交配による新規病態マウス及びKLF6臓器特異的ノックアウトマウス(LysM-Cre、Periostin-CreやSM22-Cre等)及びKLF6/APO-EまたはKLF6/KLF5ダブルノックアウトマウス系統確立・維持・IVF・手術機器等の費用、また初代継代線維芽細胞・平滑筋細胞・内皮細胞・心筋細胞・前脂肪細胞等細胞実験の培養試薬・消耗品やKLF6 gain of function, loss of function等in vitroでの検討に必要な各種試薬・機器(アンギオテンシンII・浸透圧ポンプやマイクロアレイプレート・クロマチン免疫沈降用抗体・ビーズ等、アデノウイルスベクター・RNA干渉オリゴ等)に使用する予定としている。
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Research Products
(2 results)