2012 Fiscal Year Research-status Report
ヒアルロン酸が動脈硬化進展に関与するメカニズムの解明
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23790843
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
嘉嶋 勇一郎 信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (70545722)
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Keywords | ヒアルロン酸 / 血管平滑筋細胞 / マクロファージ / 動脈硬化 / ステント内再狭窄 |
Research Abstract |
(1)血管障害モデルの新生内膜肥厚における血管平滑筋細胞とヒアルロン酸の重要性について この成果については、“PLoS One. 2013;8(3):e58760. Epub 2013 Mar 6.”にまとめることができた。血管障害モデルにおける新生内膜肥厚形成にヒアルロン酸が深く関与する。その機序として、ヒアルロン酸はCD44を介し血管平滑筋細胞に作用し、RhoA活性化により遊走能を高め、またERK-1/2活性化により増殖能を高め、炎症性サイトカインや酸化ストレスの産生能を増加させることが確認された。 (2)血管障害モデルの新生内膜肥厚におけるマクロファージとヒアルロン酸の重要性について マクロファージは、炎症増強や泡沫細胞となりプラーク形成に至るなど、動脈硬化進展に深く関与していることが知られている。しかしながら、ヒアルロン酸のマクロファージに対する作用やとその動脈硬化進展への関与は、ほとんど検討されていない。 上記の血管平滑筋細胞と同様に、マクロファージ特異的にヒアルロン酸を過剰産生させる遺伝子改変マウスを使用することにより、その機序について現在検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、平成24年度までに血管平滑筋細胞とヒアルロン酸との関連についての基礎的検討を終了し、平成25年度からマクロファージとヒアルロン酸との基礎的検討を開始する予定であった。しかし、実際には血管平滑筋細胞の検討についてはすでに論文化が終了し(Crucial role of hyaluronan in neointimal formation after vascular injury. Kashima Y, et al. PLoS One. 2013;8(3):e58760. Epub 2013 Mar 6.)、マクロファージとの検討についても概ね実験を終了することができ、予定以上の計画実現を達成できている。
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Strategy for Future Research Activity |
速やかにマクロファージと動脈硬化進展に関しての基礎的実験を完全に終了させ、25年度半ばまでには論文報告としてまとめる事を目標としている。 動脈硬化血管の新生内膜肥厚部位や血管治療後のステント再狭窄部位に、ヒアルロン酸が過剰に蓄積することが知られている。今回の基礎的検討の結果をふまえ、さらなるヒアルロン酸の動脈硬化進展に関わる機序や、ヒアルロン酸合成阻害剤(4-methylumbelliferone)による動脈硬化進展の抑制の詳細な機序の検討を進めることで、ヒアルロン酸糖鎖合成を作用点とした、まったく新しい抗動脈硬化治療薬、ステント再狭窄予防法を開発を最終的な目標としている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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