2011 Fiscal Year Research-status Report
動脈硬化形成における制御性T細胞の関与の解明と新規動脈硬化予防法・治療法の開発
Project/Area Number |
23790849
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐々木 直人 神戸大学, 医学部附属病院, 特定助教 (00514746)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 動脈硬化症 / 免疫細胞 |
Research Abstract |
動脈硬化症の発生・進展における制御性T細胞の役割の検討薬剤(ジフテリアトキシン)誘導性に制御性T細胞(Treg)を減らすことができるDEREGマウスと動脈硬化モデルマウス(apoE-KOマウス)とを交配して、DEREG/apoE-KOマウスを作成した。予備実験を行い、このマウスで効果的にTregを減少させるためのジフテリアトキシンの投与量および回数を検討したが、多量のジフテリアトキシンはマウスの健康に影響を与えることが分かった。現在、マウスの健康に影響を与えないような投与量を検討中である。予備実験の結果ではあるが、高脂血症下でTregを減少させると全身における著明なT細胞の活性化を認め、高脂血症下においても、TregはT細胞を中心とした免疫細胞の活性化を抑制していることが示唆される。制御性T細胞を誘導・制御することによる新規動脈硬化予防法・治療法の開発予備実験の結果より、apoE-KOマウスを用いて1週間に1回の紫外線(UVB)照射を6週齢から開始して20週齢までの合計14回行い、大動脈基部での動脈硬化の定量評価を行った。UVB照射により動脈硬化形成が有意に抑制されることが分かった。動脈硬化病変部での炎症関連免疫細胞(Treg 、T細胞、マクロファージ、樹状細胞)の評価は免疫染色を用いて行い、炎症性サイトカインの発現はリアルタイムRT-PCRを用いて行った。動脈病変部でのTregの増加を認め、炎症細胞は減少し、炎症性サイトカインの発現については有意に抑制されていた。また、全身でのT regsの増加に伴い、リンパ組織でのヘルパーT細胞の活性化の抑制を認め、UVB照射により免疫抑制が起こることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ある程度計画通り進展しているが、ジフテリアトキシン誘導性にTregを減らす実験については、予想外の副作用を認め、これについては検討が必要であり、今後計画より遅れる可能性がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
おおむね研究計画通りに進んでおり、動脈硬化症の発生・進展における制御性T細胞の役割の検討については、DEREG/apoE-KOマウスを用いて実験を進める。紫外線を用いたTregを誘導・制御することによる新規動脈硬化予防法・治療法の開発については、動脈硬化抑制の機序について詳細に検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使用計画としては、動物実験に使用する遺伝子組み換えマウスの維持管理費用、免疫染色およびフローサイトメトリーに用いる抗体の購入などを考えている。また、研究成果を報告するための学術集会参加費用、論文投稿費用などにも使用する予定である。
|