2012 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪酸トランスポーターCD36の欠損マウスを用いた心筋症の発症機序の解明
Project/Area Number |
23790851
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
増田 大作 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (20568753)
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Keywords | 心筋 / 脂肪酸代謝 / 糖代謝 / CD36 / FDG-PET / GLUT |
Research Abstract |
心筋障害時における脂肪酸からグルコースへのエネルギーシフトが心機能に与える影響とメカニズムについて、脂肪酸トランスポーターCD36を欠くCD36KOマウス(以下KOマウス)を用いて検討した。 A 心筋に負荷をかけない場合:小動物用PETを用いた可視化、定量化の工夫によりKOマウスでは心筋グルコース取り込みが亢進していた。膜蛋白分画における蛋白発現量をwestern blot法で検討するとGLUT4には差がないがGLUT1に発現亢進がみられこれが原因と考えられた。心筋内代謝のメタボロミクス解析での検討ではacetyl CoA高値、Citric acid低値、長鎖脂肪酸(オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸など)が、さらにATP量、Phoshpocreatin量もKOマウスで高値であった。以上から、脂肪酸取り込みが障害されるとグルコース取込み亢進・Acetyl CoAからの脂肪酸生合成増加によりエネルギー産生過剰状態となることが推察された。シグナル解析の結果、蛋白合成を促進させるS6 ribosomal proteinのリン酸化が亢進しており心肥大傾向にあると考えられた。 B 心筋に負荷をかける場合:TACによる圧負荷時においてKOマウスで心重量、肺重量が増大するが、これはS6 ribosomal proteinのリン酸化により強い心肥大反応を来していると考えられる。また心エコー解析では肥大期の後、KOでは早期に心機能不全に陥りやすい。病理組織学的解析によるアポトーシス、血管数の評価では、負荷時においてもWTマウスとKOマウス間に明らかな差は認めず、アポトーシス、血管数の差異による心機能障害は否定的と判断した。KOマウスでは非負荷時はエネルギー状態がむしろ過剰であり、圧負荷後早期に肥大反応を来しやすく、結果的に早期にエネルギー状態が破綻し収縮障害に陥ると推察された。
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