2011 Fiscal Year Research-status Report
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23790853
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
安田 知行 神戸大学, 医学部附属病院, 特定助教 (20457047)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | HDL / cholesterol efflux / atherosclerosis |
Research Abstract |
本年度は、臨床研究、基礎研究共に検体集めに終始した。臨床研究においては、当院倫理委員会認証の元、循環器内科入院患者より、入院翌朝採血を行い、-80℃にて血清を保存している。基礎研究において、動脈硬化モデルであるWHHL-MI家兎と対照群である正脂血症ラビットJW家兎より毎月空腹時採血を行い、血清を-80℃に保存している。WHHL-MIラビットは月齢を経るごとに冠動脈や大血管における動脈硬化が進展することが報告されている。最終的には同一個体におけるHDLの量的変化や質的変化を評価する予定であるが、予備実験として、同時期に異なる月齢のWHHL-MI家兎由来の血清を用いてHDL質的評価を行った。この結果では、WHHL-MI家兎において月齢と共に、HDL質的悪化は認められなかった。ヒトの臨床研究では、冠動脈疾患患者由来血清では、HDL質的異常が認められたことと、この予備実験は相違があり、さらなる検討が必要と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
家兎検体は、動脈硬化疾患モデルラビットのWHHL-MI5羽、対照群のJW5羽より毎月採血を行い、順調に検体数を増やしている。また、動脈硬化を持った家兎でHDLを増やすことが良いことなのかの確認のため、HDL増加剤であるCETP阻害剤を用い、WHHL-MIに投与し、HDL増加を確認している。すなわち、対照群、動脈硬化疾患群、動脈硬化疾患群にCETP阻害剤治療群の血清を保存している。 ヒト検体は、当科入院中の患者より採血を行い、冠動脈疾患患者を中心にH23年度のみで400検体ほど採取を行っている。それぞれの検体において、脂質プロファイルや動脈硬化疾患リスクにおけるリストを作成し、今後の解析に備えている。
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Strategy for Future Research Activity |
H23年度に採取した検体を用いてHDL質的評価を行う予定である。具体的には、ポリエチレングリコール(PEG)処理したapoBリポ蛋白除去血清を用い、HDLの抗動脈硬化作用の検証を行う。 コレステロール引き抜き作用;ヒト単球系細胞のTHP-1をアセチルLDLとRI標識されたコレステロールにて泡沫化させ、コレステロール引き抜きを促進させるLXR agonist投与下で、血清HDLによる引き抜き作用を検証する。引き抜き作用が強いほど、質の良いHDLと定義する。 抗酸化作用;HDL上に存在するParaoxonase-1の活性を保存血清を用いて測定する。Paraoxonase-1は、抗酸化作用を有していることが報告されており、Paraoxonase-1活性の高いHDLが質の良いHDLと定義する。 他にも幾つかの方法を用いて、HDLの質的評価を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記細胞実験に使用するため、RIや生化学試薬、細胞実験用器材の購入費用に充てる。また、家兎の飼育に費用が発生するため、飼育肥料にも使用する。研究成果の発表のため、学会発表を積極的に行う予定にしており、学会参加費にも充てる。
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