2012 Fiscal Year Annual Research Report
単球M1/M2分化制御による大動脈瘤進展・破裂に対する新しいナノ治療法の研究開発
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23790861
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
的場 哲哉 九州大学, 大学病院, 講師 (20448426)
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Keywords | 大動脈瘤 / マクロファージ / ナノ医療 |
Research Abstract |
【1.大動脈瘤モデルマウスの単球形質の検討】高脂肪食8週間およびアンギオテンシンII持続注入4週間を負荷したApoE欠損マウスは、腹部大動脈瘤、および大動脈分枝に動脈硬化病変を形成した。その間、末梢血白血球のフローサイトメトリーでは、炎症性活性化マーカーLy6C陽性単球の増加を認めた。 【2.ナノDDSの大動脈動脈硬化巣、大動脈瘤病変への送達】FITCを封入したPLGAナノ粒子(径150-200nm)をマウスへ静脈注射したところ、1時間後の末梢血ではCD11b(+)Ly6G(-)の単球およびCD11b(+)Ly6G(+)好中球選択的にFITCの取り込みを認めた。FITC封入ナノ粒子およびFITCを静脈注射24時間後、動脈硬化病変組織像では、病変マクロファージにFITC蛍光を認め、PLGAナノ粒子は大動脈動脈硬化/大動脈瘤に対する薬剤キャリアになりうる事が示唆された。 【3.単球選択的ナノDDSによるマクロファージ分化制御の検討】PPARγアゴニストであるピオグリタゾンを封入したナノ粒子をApoE欠損マウスに投与する事により、腹腔内マクロファージの遺伝子発現パターンは、ピオ抗炎症性M2マクロファージ優位に変化した(MCP-1/CCL-2、RANTES/CCL-5、IL-1β、TNF-αの発現抑制、IL-4の発現誘導)。また、ピタバスタチン封入ナノ粒子を投与する事により、末梢血において、同様にLy6C陽性炎症性単球の抑制を認めた。 【4.単球選択的ナノDDSによる大動脈瘤進展予防効果の検討】上記大動脈瘤モデルマウスにおいて、ピタバスタチンナノ粒子は大動脈径増大を抑制し、形態学的な大動脈瘤の形成(elastin層の断裂、血腫の形成)を抑制した。 以上の検討でPLGAナノ粒子が炎症性単球の動員を制御し大動脈瘤進展予防を得るためのDDSとして有用である事が示された。
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Research Products
(2 results)