2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23790865
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
野崎 俊光 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (10583049)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 内皮機能 / ミトコンドリア / AMPK |
Research Abstract |
(1)ヒト冠動脈内皮細胞を賦活化させる薬剤のスクリーニングの結果、テルミサルタンが血管内皮細胞を活性化することが判明した。血管内皮細胞の賦活化現象としては、テルミサルタンがミトコンドリア機能を変化させ、細胞内NADH+レベルを上昇させた。テルミサルタンはH2O2ストレス負荷に対する冠動脈内皮細胞のapoptosis/necrosisを減少させ、また、血管内皮細胞のangiogenesis増強作用や、培養内皮細胞の継代を繰り返す実験では老化内皮細胞の出現を抑制した。(2)血管内皮細胞の賦活化とミトコンドリア機能の変化の関連とその機序を検討した結果、テルミサルタンは培養冠動脈内皮細胞のAMPKを上方制御してミトコンドリア機能を増強している知見が得られた。現在、AMPKを介した効果であることを確認する実験を進めている。(3)血管内皮細胞賦活薬の効果をマウス大動脈で検討した結果、テルミサルタンを経口投与したApo E KOマウスの大動脈のAMPKレベルは有意な上昇を認めなかった。この結果は、内皮細胞のみの組織ではなかったことが原因である可能性があり、現在、内皮細胞機能に特異的な大動脈の弛緩反応を検討中である。また、テルミサルタン投与後のマウスにMitoTracker Greenを注入し、その後大動脈を取り出してミトコンドリアの評価を行った実験では、ミトコンドリアの染色が全体的に弱くムラがあったため、現在、大動脈の染色方法(染色のタイミングや量、組織の切り出し)について検討中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に実施した冠動脈内皮細胞の基礎研究は、血管内皮細胞・機能の変化現象の評価とそれを説明する刺激伝道系の変化についておおよそ結果が得られている。現在は刺激伝道系の変化の持論をサポートできる裏取り実験を中心に行っている。 また、平成24年度の研究計画である臨床研究について、特に心疾患患者における薬剤に よる血管内皮機能障害の治療効果の検討に対して、薬剤をテルミサルタンに決定し、研究計画を所属機関の倫理委員会へ提出し承諾が得られた。患者登録も開始している。
|
Strategy for Future Research Activity |
ヒト冠動脈内皮細胞を賦活化させる薬剤としてテルミサルタンを使用することを決定し、末梢血管トノメトリー(RH-PAT)を用いて血管内皮細胞の賦活化の効果を検討する。独自のヒト抗CD144抗体作成については、抗CD144抗原を抽出し、専門の民間抗体作成研究所にモノクローナル抗体作製研究所に委託する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
直接経費:RH-PATプローブ100個 ¥150,000、Flowcytometry関連試薬(シース液,測定用チューブなど)¥100,000、抗CD144・CD42b抗体類 ¥150,000、ヒト冠動脈内皮細胞125,000x2 ¥250,000、抗CD144抗体作成・ELISAキット作成関連費用 ¥400,000、マウス・飼料等 ¥200,000、Western blot関連試薬 ¥150,000 計 ¥1400,000間接経費:事務消耗品(インクなど) ¥100,000、論文作成サポートソフト ¥100,000、パソコン周辺機器 ¥220,000 計 ¥420,000
|
Research Products
(5 results)