2011 Fiscal Year Research-status Report
次世代シークエンサーを用いた家族性心房細動の原因遺伝子検索
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23790873
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
相澤 義泰 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20528145)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 遺伝子解析 / 遺伝子変異 / 不整脈 / 心房細動 / 次世代シークエンサー |
Research Abstract |
「研究の目的」心房細動は日常診療で最もよく遭遇する不整脈である。この心房細動の患者群の中には明らかな基礎心疾患を有さず発症する孤立性心房細動が存在し、それらの一部に若年発症、家族発症をきたす例が少なからず存在する。このような家族性心房細動において近年心臓のイオンチャネルに変異を有する例がいくつか報告されている。我々の研究目的は従来の候補遺伝子アプローチにより原因遺伝子が同定されない若年性・家族性心房細動症例に対し、最近利用可能となった次世代シークエンサーを用いて新規の変異遺伝子を同定しその機能解析を行うことである。「研究実施計画」1.1) 研究デザイン:心房細動の大家系例においては連鎖解析により原因遺伝子の遺伝子座を特定する。孤発例や小家系例においては候補遺伝子アプローチにより、心房細動の発生に関与することが期待されるいくつかの遺伝子の変異スクリーングを行う。変異が同定された時点で、哺乳類動物細胞を用いたチャネル蛋白発現系にて心臓イオンチャネルの機能解析を行う。1.2) サンプル収集:当大学付属病院を訪れる大多数の心房細動患者のうち、若年発症(40歳未満)、および家族内集積を示す症例に対し、書面にて説明をし同意を得る。同意が得られた患者より末梢血20mlを採取し、リンパ球よりゲノムDNAを抽出する。1.3) 候補遺伝子アプローチによるDNAシークエンシング:これまでに報告のある主な家族性心房細動に関与する候補遺伝子のエクソンコード領域を特異的に増幅するプライマーを設計しPCR、DNAシークエンスにて塩基配列を解析する。平成23年度の研究実績は上記の部分まで完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
「研究実施計画」に記載した下記の部分の達成が未完了であるため。1.4) 次世代シークエンサーによるDNAシークエンシング:候補遺伝子アプローチで変異の同定されなかった家系に対し、次世代シークエンサーにて塩基配列を決定する。1.5) Mutagenesis:イオンチャネルの遺伝子変異をsite-directed mutagenes法にて作成し、哺乳類動物細胞に変異チャネル蛋白を発現させる目的でpcDNA3.1 (Invitrogen社)にサブクローニングする。1.6) 哺乳類動物細胞への遺伝子発現:発現にはHEK293、COS-7、tsa201細胞などから適切な細胞を選択し、35 mm細胞培養用ディッシュにて 飼育する。細胞をリポフェクション法にて遺伝子導入を行う。遺伝子導入から24-72時間以内に機能解析を行う。遺伝子導入の成功の有無の判断は、GFP発現ベクターの共導入にて行う。また、標的チャネルに応じてαサブユニット以外にもβサブユニットも発現させる。細胞培養液は10% FBS添加DMEM液にペニシリン100 U/ml、ストレプトマイシン100g/mlを加えたものを用いる。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度中に、次世代シークエンサーによる解析を行う。共同研究者との情報交換により積極的にデータを蓄積する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に次世代シークエンサーによるDNAシークエンシングおよびそのデータ解析、また変異同定後のmutagenesis、哺乳類動物細胞への遺伝子発現による機能解析に用いる。また、同手法による変異解析手段が確立していないため、国内、海外での研究協力者との情報交換目的を兼ねた学会参加費用として使用する。また、H23年度の未使用額の発生は、効率的な消耗品調達を行なった結果であり、H24年度の消耗品の購入に充てる予定である。
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Research Products
(16 results)