2012 Fiscal Year Annual Research Report
特発性/遺伝性肺動脈性肺高血圧症の疾患特異的iPS細胞の樹立および解析
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23790876
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
楠本 大 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70571727)
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Keywords | iPS細胞 / 血管内皮 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
特発性/遺伝性肺動脈性肺高血圧(IPAH/HPAH)は、肺高血圧症をきたす予後不良の難病である。当研究では、遺伝子変異を有する重症肺高血圧患者から疾患特異的iPS細胞を樹立し血管内皮細胞に分化誘導することで、PAHの病態を解明し新規治療法開発に結びつけることのできる新たな疾患モデルの作成を目的とする。 実際の研究方法としては、IPAH/HPAH患者より疾患特異的iPS細胞を樹立し、血管内皮細胞へ分化誘導させて解析を行った。具体的には、まずBMPR2遺伝子変異、およびALK1遺伝子変異を有する重症肺高血圧症患者より末梢血を採血し、末梢血T細胞ににセンダイウィルスを用いて山中4因子を感染させることでiPS細胞を樹立した。次にiPS細胞を接着培養の系を用いて血管内皮細胞へ分化誘導させ、得られた血管内皮細胞の解析を行った。まず遺伝子変異の影響でALK1、BMPR2タンパク発現に異常を生じていないかどうか検討を行ったが、免疫染色では細胞膜上に発現が確認された。次に肺高血圧患者由来の血管内皮細胞の表現型を解析するためTube formation assayにて管腔形成能、およびEdUを用いて増殖能の検討を行った。通常培養状態下およびALK-1、BMPRIIのリガンドであるBMP9、TGF-β1,2を添加した条件においてはコントロール群と比べて明らかな差異は認められなかったが、低酸素化培養によって肺環境を模倣したところALK1遺伝子変異を有する血管内皮細胞では管腔形成能の亢進を認め、病態形成の一因である可能性が考えられた。次に病態形成に関与するシグナル経路の検討のため、Alk1の下流であるSmad1,5、BMPR2の下流であるSmad2,3のリン酸化について検討を行ったが、コントロール群と明らかな差異は認めず、未知のシグナル経路により表現型の差がもたらされる可能性が考えられた。
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[Journal Article] Wnt2 accelerates cardiac myocyte differentiation from ES-cell derived mesodermal cells via noncanonical pathway2012
Author(s)
Onizuka T, Yuasa S, Kusumoto D, Shimoji K,Egashira T, Ohno Y, Kageyama T, Tanaka T,Hattori F, Fujita J, Ieda M, Kimura K, Makino S,Sano M, Kudo A, Fukuda K.
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Journal Title
J Mol Cell Cardiol
Volume: 52
Pages: 650-659
Peer Reviewed
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