2011 Fiscal Year Research-status Report
骨髄由来細胞動員による動脈硬化進展と組織再生機構の解明
Project/Area Number |
23790878
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
佐藤 弥生 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (20327810)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 動脈硬化 / 炎症細胞 / 骨髄由来細胞 / MMPs |
Research Abstract |
近年増加の一途をたどる動脈硬化性疾患は、心筋梗塞を含む急性冠症候群や閉塞性動脈硬化症の原因となっている。いままでの研究で、動脈硬化の中核となる動脈内のプラークは、マクロファージをはじめとする骨髄由来の炎症細胞が血管内皮障害部位へと集簇が重要なプロセスであることが判明している。申請者らのこれまでの研究で、骨髄由来細胞の動員では、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)および血液線維素溶解系(線溶系)因子に代表される、セリンプロテアーゼを含む各種プロテアーゼの活性化が起点となっていることが判明している。昨年度までの研究で、高脂肪食負荷による動脈硬化モデルマウスに同時に免疫抑制剤を投与して骨髄由来細胞を減少させたマウスと、免疫抑制剤を投与しないマウスを比較したところ、前者には明らかな動脈硬化巣の形成抑制が認められた。血清脂質上に大きな差異は認められなかったことから、骨髄由来細胞数の低下が動脈硬化抑制には重要であることが示唆された。次に、動脈硬化モデルマウスである程度プラーク形成を誘導したマウス群に、同様に免疫抑制剤を投与したところ、投与群ではプラークの増加および形成抑制が認められた。動脈硬化部位のMMP-2およびMMP-9の測定を行ったところ、免疫抑制剤投与群では、明らかな活性減少が認められ、炎症性細胞の浸潤抑制による炎症の低下がプラーク形成を抑制していると考えられた。具体的には、免疫抑制剤投与群では、マクロファージおよびリンパ球の浸潤の低下が病理所見で認められ、脾臓細胞の細胞表面マーカー解析においては、Tリンパ球のTh1細胞数の減少も認められた。マクロファージ分画の差異やプラークの退縮の可能性については、いましばらくの検討が必要である。今後は、後半のテーマである虚血性循環障害の再生修復における骨髄由来細胞動員の意義を、マウスの大腿虚血肢モデルを利用して行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験の前半部分の「動脈硬化プラーク形成過程の骨髄由来細胞動員の意義」については、結果を得られており、後半の「虚血性循環障害の再生修復における骨髄由来細胞動員の意義」についての実験を進めつつあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
早急に前半部分の動脈硬化に対する評価を終了し、後半の虚血循環障害に対する骨髄由来細胞の評価を進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は一時休業予定であるが、研究再開後は、後半部分の虚血循環障害に対する研究推進のための各種消耗品購入、国内外の学会発表を積極的に行い、論文作成まで念頭において行っていく。
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