2013 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄由来細胞動員による動脈硬化進展と組織再生機構の解明
Project/Area Number |
23790878
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
佐藤 弥生 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (20327810)
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Keywords | 動脈硬化 / T細胞 / マクロファージ |
Research Abstract |
動脈硬化の進展では、脂質などの血管壁への蓄積、血管新生や平滑筋の増殖、細胞外マトリックスの産生による組織の破壊などが起きるが、白血球のT細胞や単球/マクロファージ系から分泌される炎症性物質がそれらの作用を促進していることは知られている。今回の研究は、骨髄を免疫抑制剤により抑制することで末梢血中への白血球の供給を減らし、動脈硬化巣の進展抑制効果を評価することが目的である。 前年度までの研究で、免疫抑制剤のシクロホスファミド(CPA)は、高脂肪食負荷apoe(-/-)マウスで、初期の動脈硬化巣形成を抑制すること、中等度の動脈硬化巣が形成された14週間高脂肪食負荷後のapoe(-/-)マウスにおいても、4週間のCPA投与で動脈硬化巣の進展が予防されることを示した。その機序には、骨髄抑制作用による末梢血中のT細胞、特に炎症性T細胞であるTh1細胞数の低下が大きいことが考えられた。 本年度は、T細胞系に加え、マクロファージ系の解析を行った。動脈硬化巣の病理標本解析において、CPA投与群では初期巣でのマクロファージの浸潤抑制が認められた。一方、高脂肪食負荷14週目以降にCPA負荷を行った動脈硬化巣においては、内膜下の泡沫細胞数の低下を認めた。マクロファージは炎症性のM1マクロファージと抗炎症性のM2マクロファージが存在するが、CPA投与下のM2マクロファージ分画の変化について評価を行った。腹腔内、末梢血、脾臓の各細胞を用いて、M2マクロファージ分画の割合を評価したところ、初期巣である12週高脂肪食投与群、進行巣である18週投与群のいずれにおいてもCPA投与群ではM1/M2の割合については大きな差は認めず、いずれもM1M2両マクロファージ数の低下のみが認められた。以上より、M2マクロファージの増減より、M1マクロファージの数の減少が動脈硬化巣には大きく影響する可能性が示唆された。
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