2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23790880
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
網野 真理 東海大学, 医学部, 講師 (10407976)
|
Keywords | コネキシン43 / 重粒子線照射 / 心室遅延電 |
Research Abstract |
【背景と目的】我々は、ウサギ心臓を標的とする重粒子線照射 (THIR) がギャップ結合タンパク (Cx43) の発現亢進をもたらし、心筋梗塞 (MI) 後(亜急性期)の心室伝導障害と再分極不均一性を改善することを報告した。また健常ウサギを用いて単回THIRによるCx43の発現亢進は1年にわたり継続することを明らかにした。本研究ではイヌMIモデルを用いて心室遅延電位 (LP) の経時的観察を行い、THIRが慢性期の梗塞瘢痕に伴う不整脈基質に及ぼす効果を検討した。 【方法】体重 9-10kg のビーグル犬8匹 (MI群 4匹, MI+THIR群 4匹) に経皮的カテーテルによるマイクロスフェアー注入法でMIを作成し、2週間後単回THIR を施行した。 【結果】1) 梗塞作成 1年後に施行した免疫染色では、MI 群で梗塞部位と虚血境界領域 (IBZ) における Cx43 の減少が認められた。MI+THIR 群では健常部位と IBZ における Cx43 発現の亢進が認められた。2) MI 群では梗塞作成直後に出現した LP が、14日後には更に顕著となり1年後も同様な状態が続いた。MI+THIR 群では THIR 施行 14日後から LP が軽減し始め、1年後には更に改善が進んだ。3) MI 群では梗塞作成直後に左室収縮能が低下し 1年後も同様な状態が続いた。MI+THIR 群では THIR 施行 14日後から収縮能が改善し始め、1年後には更に改善が進んだ。4) 梗塞作成 1年後に施行した心室プログラム刺激による心室頻拍・細動誘発試験では、MI 群の 4例全例が陽性であったが,MI+THIR 群は 1例 (25%) のみが陽性であった。 【結論】心臓を標的とする重粒子線照が梗塞後の心室内伝導障害を長期間にわたって軽減し、心室不整脈発生基質を修復することが示唆された。
|