2011 Fiscal Year Annual Research Report
気管支喘息における新規myeloid系細胞の役割の解明
Project/Area Number |
23790897
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岩田 有史 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (90436353)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | アレルギー性気道炎症 / 樹状細胞 / アルギナーゼ / 気道過敏性 |
Research Abstract |
樹状細胞はプロフェッショナル抗原提示細胞であり、獲得免疫の誘導に重要な働きをする細胞である。単球由来樹状細胞は炎症の存在下で単球より分化する樹状細胞であり、常在性樹状細胞と同様に獲得免疫を誘導する能力を持っている。アレルギー性気道炎症を主たる病態とする気管支喘息においては、樹状細胞がアレルギー性炎症の惹起と増幅に重要な働きをしていることは明らかであるが、その主症状である気道過敏性に対してどのように働くかは依然不明である。 我々はアレルギー性気道炎症により誘導されるmyeloid系細胞を各種表面抗原により明確な6種に分類し、中でもCD11b^<high>CD11c^<int>MHCII^<high>細胞がアレルギー性気道炎症の局所で著明に増加することを明らかにした。この細胞はLy6cを発現しCCR2依存的に誘導されること、樹状細胞様形態を呈し副刺激分子を高発現し高い抗原提示能を持つことから、単球由来樹状細胞と考えられた。この単球由来樹状細胞はarginase1, RELM-a, Mgl1等を発現する一方、mannose receptor, Ym1等は発現しておらず、alternatively-activated macrophageの一部の性質を併せ持つ新規樹状細胞サブセットと考えられた。この新規樹状細胞サブセットの誘導には、Th2細胞性気道炎症と、内在性STAT6が必須であった。 気管支喘息の気道過敏性誘導因子であるarginase1に着目して解析した結果、この新規樹状細胞サブセットはアレルギー性気道炎症におけるarginase1の主要産生細胞であった。単球由来樹状細胞の消失するCCR2欠損マウスでは、Th2細胞性気道炎症は野生型マウスと同等に誘導されるが気道過敏性のみ減弱すること、さらにこの気道過敏性の減弱は新規樹状細胞サブセットの細胞移植により増悪することから、新規樹状細胞サブセットは気道炎症の誘導と別のメカニズムで気道過敏性を誘導することが明らかとなった。 一方、Th1細胞性気道炎症により誘導される単球由来樹状細胞は、細菌感染においてエフェクター機能を持つTip-DC(TNF-α and iNOS producing DC)の性質を持つことから、単球由来樹状細胞はその誘導される炎症環境により性質を変化させ、獲得免疫誘導とは別の機序でエフェクター機能を持つことが明らかとなった。 以上のことより単球由来樹状細胞の新たな役割が明らかとなり、今後炎症性疾患の病態形成の理解に更なる発展が期待できる。
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