2011 Fiscal Year Research-status Report
新規足場蛋白Aki1を標的としたEGFR遺伝子変異肺癌の制御法開発
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23790902
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山田 忠明 金沢大学, 附属病院, 助教 (00507048)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 肺癌 / がん分子標的 / 薬剤耐性 / 足場蛋白質 / 上皮成長因子受容体 |
Research Abstract |
非小細胞肺がんに対する新たな分子標的薬として上皮成長因子受容体(EGFR)阻害薬が開発され、これまでにEGFR遺伝子変異を有する肺癌において良好な治療成績が報告されている。その一方で、このEGFR阻害薬への耐性が次の課題と考えられている。そのためには直接的な標的であるEGFR以外の新たな治療標的分子を明らかにすることが耐性克服のための治療法確立に必要である。本研究では、EGFRに結合し、主要な生存・増殖シグナルであるPI3K/PDK1/Akt系の活性化を橋渡しする新規足場タンパク質であるAki1に着目し、Aki1がEGFR-TKI耐性肺癌における新しい治療標的分子となりうるかどうかを明らかにすることを目的に、以下の成果をあげた。1) 複数のEGFR変異を有する肺癌細胞株でAki1が高発現していることを確認した。一方、線維芽細胞株ではAki1の発現が乏しかった。2) 複数のEGFR変異を有する肺癌細胞株においてsiRNA法にてAki1阻害を行ったところ、著しい細胞増殖抑制を示した。一方、線維芽細胞株では細胞増殖能への効果はわずかであった。3) EGFR遺伝子変異を有する肺癌細胞株で、siRNA法にてEGFR阻害あるいはAki1阻害を行ったところ、Aki1阻害はaddiction状態にあるEGFRの阻害と同等の細胞増殖抑制効果を示した。4) 以上の結果より、Aki1がEGFR変異陽性肺癌において、EGFRと同様に有望な治療標的分子である可能性や、Aki1阻害による毒性も許容される可能性を明らかにした。このことから、今後は肺癌の臨床検体におけるAki1の発現状況を評価するとともに、Aki1阻害による抗腫瘍効果をさらに解明するために動物モデルを用いた検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EGFR変異を有する肺癌における標的分子と捉えたAki1が肺癌細胞株で発現を確認できたこと、毒性の懸念が許容内である可能性を示したことから、今後は予定通り臨床検体や動物モデルでの検討を遂行していく。以上より、現時点の評価としては、比較的順調な研究の進捗が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に得た知見を基に、次年度では、臨床検体を用いたAki1発現の検討や、動物モデルにおけるAki1阻害の抗腫瘍効果について検討を行い、Aki1を標的とする治療方法の有益性についての検証をさらに掘り下げて進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
効率的執行により、端数が生じたため未使用金となった。使用計画としては、臨床検体の収集、免疫組織染色法、動物実験のためのマウス購入、in vivoで作用しうるAki1阻害のためのsiRNA(in ivo fectamine)試薬の購入などを計画している。
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