2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規足場蛋白Aki1を標的としたEGFR遺伝子変異肺癌の制御法開発
Project/Area Number |
23790902
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山田 忠明 金沢大学, 大学病院, 講師 (00507048)
|
Keywords | 肺癌 / 足場蛋白質 / 薬剤耐性 / EGFR |
Research Abstract |
非小細胞肺がんに対する新たな分子標的薬として上皮成長因子受容体(EGFR)阻害薬が開発され、これまでにEGFR遺伝子変異を有する肺がんにおいて良好な治療成績が報告されている。その一方で、このEGFR阻害薬への耐性が次の課題と考えられている。そのためには直接的な標的であるEGFR以外の新たな治療標的分子を明らかにすることが耐性克服のための治療法確立に必要である。本研究では、EGFRに結合し、主要な生存・増殖シグナルであるPI3K/PDK1/Akt系の活性化を橋渡しする新規足場タンパク質であるAki1に着目し、Aki1がEGFR-TKI耐性肺がんにおける新しい治療標的分子となりうるかどうかを明らかにすることを目的に、以下の成果をあげた。 1) 複数のEGFR変異を有する肺がん細胞株でAki1が高発現していることを確認した。一方、線維芽細胞株ではAki1の発現が乏しかった。2) 複数のEGFR変異を有する肺がん細胞株においてsiRNA法にてAki1阻害を行ったところ、著しい細胞増殖抑制を示した。一方、線維芽細胞株では細胞増殖能への効果はわずかであった。3) EGFR変異を有する肺がん細胞株で、siRNA法にてEGFR阻害あるいはAki1阻害を行ったところ、Aki1阻害はaddiction状態にあるEGFRの阻害と同等の細胞増殖抑制効果を示した。4)EGFR変異を有する肺がん細胞株をマウスに皮下移植し作成した動物モデルではsiRNA法を用いたAki1遺伝子発現抑制により著明な抗腫瘍効果を示した。5)EGFR変異を有する肺がん腫瘍ではEGFR治療の有無に関わらず、高頻度にAki1高発現を認めた。 これらの研究結果より、Aki1はEGFR変異を有する非小細胞肺がんにおける新たな標的分子である可能性がある。
|
Research Products
(19 results)