2011 Fiscal Year Research-status Report
microRNAを指標とした肺癌診断マーカーの開発及び発癌メカニズムの解明
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23790920
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
浜本 純子 慶應義塾大学, 医学部, 特任助教 (40570239)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | microRNA |
Research Abstract |
注目した3つのmicroRNAの発現を様々な肺癌細胞で測定し、一部のmicroRNAが過剰発現あるいはノックダウンすることにより細胞増殖に影響を与えることを明らかにした。このことから、これらのmicroRNAが発癌に関与することが示唆された。また、タンパク発現の変化及びタンパクリン酸化の変化(Western Blotting)などを通しこれらのmicroRNAがPI3K pathwayに与える影響を調べた。現在までの結果からは腺癌と扁平上皮癌の発症に違いにこれらのmicroRNAが関与しているとはまだ言えないため、さらに検討しているところである。扁平上皮癌と腺癌を見分けるマーカーとしては既にTTF1, TP63, サイトケラチンの発現量が知られている。そこで、注目した3つのmicroRNAの過剰発現あるいはノックダウンによりこれらの既知マーカーのタンパク質発現量が変化するかどうかについてもWestern Blotting及び免疫染色で確認しているところである。また、3つのmicroRNAの具体的な標的遺伝子に関しては、microRNAの発現についてarrayを行った肺癌臨床検体について同時に行ったmRNAのmicroArray結果と統合して解析し、相関係数が高い遺伝子を抽出した。これら遺伝子のうち、3つのmicroRNAの標的となりうるかどうかをmiRBaseを始めとした公的なデータベース上で調べて、またPI3K pathwayに関与することが知られている遺伝子に関し、3つのmicroRNAの過剰発現あるいはノックダウンで発現量が変化するかどうかもRT-PCR, Western Blottingで確認しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
診断マーカーの開発として提案した血液検体からのmicroRNAの測定に関しては患者さんからの検体の収集などに難点があり、現時点では進んでいない。発癌メカニズムに関しては3つのmicroRNAの発現を様々な肺癌細胞で測定し、これらのmicroRNAの過剰発現あるいはノックダウンが細胞増殖(MTT assay)、タンパク発現の変化及びタンパクリン酸化の変化(Western Blotting)などを通しPI3K pathwayに与える影響を調べた。
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Strategy for Future Research Activity |
診断マーカーに関しては血液からのmicroRNA採取方法の検討から始める。発癌メカニズムに関しては引き続き平成23年度の実験を継続して行うが、さらに正常ヒト気管支上皮(以下NHBE)細胞に、hTERT、SV40のラージT抗原を導入して作成した不死化NHBE細胞(Soejima et al, Oncogene2003)を用いて、3つのmicroRNAに対するantisense-RNAあるいはpri-microRNA導入を行い、不死化NHBEが癌化するか否かを検討する(軟寒天コロニー形成測定法)。また、immunohistochemistryにより扁平上皮癌と腺癌を見分けることができるとされるTTF-1やp63、cytokeratin7などの発現を指標として、microRNA過剰発現あるいはノックダウンによって、扁平上皮癌と腺癌の特性のバランスがどうなるかどうかについても検討し(免疫染色あるいはWestern Blotting)、それぞれの組織における3分子の機能的重要性について詳細な検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き、様々な肺癌細胞で過剰発現やノックダウンを行って検討するため、細胞培養やsiRNA、タンパク抽出、RNA抽出関連試薬を購入する予定である。
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