2012 Fiscal Year Annual Research Report
microRNAを指標とした肺癌診断マーカーの開発及び発癌メカニズムの解明
Project/Area Number |
23790920
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
浜本 純子 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (40570239)
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Keywords | 論文発表 |
Research Abstract |
我々は、肺癌の86臨床検体からmicroRNAを含むRNAを抽出し、TaqMan Human MicroRNA Array v2.0を用いて定量RT-PCR (Applied Biosystems)により377種類のmicroRNA発現量を網羅的に測定・解析した結果、腺癌と扁平上皮癌で発現量が異なるmi croRNAとしてmiR-196b,miR-205, miR-375を同定した。非小細胞肺癌の化学療法において扁平上皮癌ではない癌に特異的に奏効するpemetrexedやbevacizumabなどの薬剤が使用されるようになったため、扁平上皮癌での副作用を回避しよりよい薬剤の効果を得られるようにするためには腺癌と扁平上皮癌を正確に見分けることが必要となってきた。そこでこれらmicroRNA分子の発現量が腺癌と扁平上皮癌を見分ける診断マーカーとして適当かどうかを調べるためにROC解析を行ったところ、AUCは0.8より大きくなりどれもよい診断マーカーとなることが示唆された。さらに3つのマーカーを組み合わせた判別関数は単独のマーカーによる診断よりも感度が上がり、扁平上皮癌も腺癌も約80%の感度で判別できることがわかった。これらの現象は異なるグループの88検体においても確認できた。以上の知見を英語論文として執筆し、acceptされたところである(2013年3月)。 発癌メカニズムにおけるこれらmicroRNAの働きを調べたところ、特にmiR-375発現量が少ない肺扁平上皮癌由来SK-MES-1においてmiR-375を過剰発現すると浸潤能が促進されること、またmiR-375のtargtetとして、この経路に浸潤能を抑制する機能を持つClaudin-1が関与する可能性を見出した。
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